『戯言シリーズ』の1作目で,02年02月刊行のノベルスを文庫化.
第23回メフィスト賞の受賞作で,著者のデビュー作にもなります.
個性的な登場人物に目が行きがちも,ミステリとしてもまずまずで,
やたらに強調されていたアリバイには引っかかるところがあるものの,
それ以外は,トリックなどオーソドックスながらもまとまった印象です.
また,あえて違和感を残しておき,それを最後に一気に回収するくだりは,
『内容』もさることながら,いったん落ち着いていたぶんおどろかされます.
ほかにも,何度も見せる過去へのわだかまりや相棒との関係も興味を惹かれ,
本作ではまるで語られなかっただけに,このあとの続刊が気になるところです.
著者の作品では今やおなじみの掛け合いや繰り返しもこのころから見られ,
ほかから入った人には,今と比べてみるとまたおもしろいかもしれませんし,
すでにノベルス版で読みおえた人でも,新たに気づくことがあったりするので,
この文庫化(隔月で続刊予定)をきっかけに読み直してみてはいかがでしょうか.
『西尾維新文庫』と名づけられた,通常の講談社文庫とは異なる装丁にも注目です.
ノベルス版との違いは,表紙とアトガキ(あとがきのこと)と袖の口上で,
加筆や修正は,明らかな間違いなどを除きおこなわれていないとのことです.
挿絵は,扉絵の描きおろしカラー以外はすべてノベルス版と同じになっていて,
その代わりと言ってはなんですが,オリジナルイラストのしおりがついています.