主人公、クヌルプは、誰からも愛され、どんな人にも好印象を与えることのできる、とても恵まれた性格と才能の持ち主ですが、自分の孤独を愛する性質に従って、旅を続けます。
彼は、若き頃の失恋経験から、人間同士のあいだに横たわる深淵に気づき、他者と深い交わりを持たぬまま、漂泊の生活を続けます。
しかし、肺を病み、人生の最後になって、自分の無為の人生に価値はあったのか?と疑問を持ちます。
それに対して、彼の眼前に現れた神は、彼の人生を全肯定し、彼の死を受け入れます。
人は、どんな人生を送っても、これでよかったのかという疑問がよぎります。
しかし、この小説を読むと、「どんな人生も、独自性を持ち、取替えのきかない、素晴らしいかけがえのないものだ」と思わされます。
とても感動しました。