『古典部シリーズ』の3作目,05年06月の単行本の文庫化です.
これまでの2作が主人公の少年の視点から描かれていたのに対し,
彼を含む友人たち4人が切り替わりながらひとつの物語が進みます.
そのため場面展開のテンポもよく,スムーズに読むことができます.
また,はじまりからの『トラブル』に『事件』が割り込む流れは,
事件だけではなく,トラブルのほうをどう片づけるのかにも注目で,
文化祭と事件をうまく絡めての『解決』にも目がいくようになります.
文化祭が舞台ということもあってか,全体的にも明るめの雰囲気で,
ヒロインであるお嬢さまの『とぼけた』言動も楽しみどころのひとつ.
たまに冗長に感じるところも,その人物の内面をうまく映し出しており,
視点の切り替えも手伝って,それぞれの意識がのぞけたのもよかったです.
事件の動機については,学生である彼らでなくても感じ得る感情ですが,
別のところで,主人公らにも同じような心理が描かれていたのが印象的で,
今回見えた内面とともに,今後の距離感などがちょっと気になるところです.
なお,この作品だけ読んでもわからなくなることは少ないと思いますが,
4人の意識のあたりは,過去作を読んでいたほうがより楽しめるはずです.