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こう書くと面白そうだが、私はこの話、神話大系に加えることに疑問を感じる。ラヴクラフトやその影響を受けた所謂“ラヴクラフト・サークル”の描く“コズミックホラー”の根底は宇宙が人類に好意的な原理で動いている理由など何もない、というその一言に尽きる。神のような『旧支配者』にとって人類など、単なる食料であるか本来の主人の不在に我が物顔で広まった野生動物にすぎないのだ。
だがここで登場する『クトゥルフ神話研究の!第一人者』ラバン・シュリュズベリー博士にかかると『コズミックホラー』は跡形もなく消えうせ、『宇宙的な絶対悪である旧支配者』と『宇宙的な善である旧神』の安っぽいカルトめいたハルマゲドンストーリーに変わってしまうのだ。
おそらく、キリスト教の支配力が強かった当時、『神話』を一般読者層に受け入れられやすい状況を構築するために聖書っぽい勧善懲悪性を持ち込もうとする試みだったのだろうが、その結果作品はコズミックホラーとは似ても似つかないものになってしまった。
とはいえ、その作品の血脈は今も綿々と流れている。もし貴方が菊池秀行や漫画家矢野健太郎氏の描くクトゥルフものに興味を抱いて神話に興味を抱かれたのなら、この作品は“買い”だ。作品はホラーとしは少々趣を欠くも!のの、ラヴクラフトの“文学性”とは一線を隔した救いのある、わかりやすいストーリー展開はそれなりのエンターテイメント性で貴方を満足させてくれるだろう。
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