テキサス州の田舎町で下宿を開いて男女三人のシルバー世代の友人達と暮らす料理好きな未亡人フィリスが素人探偵となって活躍するハートフルなコージー・ミステリー第3弾です。本シリーズも早3作目の紹介でレギュラー陣達にもすっかりお馴染みになり、著者が愛着を持って自作に込めた思いがくっきりと見えて来ました。ヒロインのフィリスは、料理コンテストのライバルの少し口が悪いキャロリンとの競争心も互いに実力を認め合う穏やかな物になりましたし、離婚四回の男性に気の多いイヴが下宿唯一の妻を亡くした男性サムにモーションをかけても軽く受け流し、困った時に必ず相談するサムを深く信頼し心が通じ合っており、近くで暮らす息子の副保安官マイク一家とは愛情深く仲の良い親子関係を維持しています。今回はクリスマス目前でフィリスが近所の人を自宅に招いて開いたクッキー交換会の最中に隣家の老婦人が絞殺された現場を発見し、自らも犯人に殴打されるという危ない事件に遭遇します。回りの仲間達から危険だと警告されながら、正義感の強いフィリスはまたも探偵の血が騒ぎご近所の聞き込み捜査を開始します。
ミステリーとしてはいつもの様に巧みな手掛かりの出し方が秀逸で、真犯人のうっかりミスから破綻して真相が暴かれる展開が鮮やかで安心して読めます。フィリスは聞き込みを続ける中で、本筋の真相以外にも世間には秘めた悲しい出来事がごろごろ転がっていて、表に出ないだけだという事を思い知らされます。彼女が立派なのは、今の世にある悲しい現実に目を背けないで真摯に向き合い何とか助けになってあげようと努力する態度です。著者は今後もシリーズを通じて厳しい面もある家族の問題や悲しい人間の性を描き続けてくれるでしょう。尚、今回はクリスマスの物語に相応しく著者が気合を入れて巻末で何と16種類もの料理のレシピを紹介されていますので、お料理好きな方は大満足して頂けると思います。