1964年生まれの若い著者が「第六次捕獲調査(1992年~)」の捕鯨船に同乗、半年間の航海のなか調査捕鯨の実態を自分の眼で確かめ、さまざまな人との交流のなかで「捕鯨問題」を浮き彫りにするルポ。
まずは徹底的に科学的な調査捕鯨の実態にびっくり。肉の利用は副次的なものでクジラの生態的調査が主眼であり、鯨種によっては捕獲後の個体調査が6時間にも及ぶものであることが紹介されている。
著者は捕鯨推進者、反捕鯨論者のどちらでもなく、一貫しておおむね中立の立場をとる。これは同乗取材者という立場上のものからきているのではなく、両者の意見にも一定の理解を示した上で著者自身の見解も述べたものであるので、それなりに好感がもてる。
商業捕鯨の再開が限りなく0に近い状況の現在、著者は結局本書を通じて読者自身に捕鯨問題のあり方を問いかけている。