すばらしすぎる!あらゆる感動が詰まっている作品だ。
こんな歴史ロマンを書けるなんてすごすぎる!
キャラクター・ストーリー・表現力とすべてが完璧であるし、
心の描写・恋・芸術・愛・信仰の描き方も非の打ち所がない。
原始キリスト教やローマの文化も細かく描かれている。
欲望のまま突き進む男だったウィニキウスが、
キリスト教徒の愛に触れ、少しずつ変わっていく描写も感動的である。
リギアを奪いに行くウィニキウス、そこでのウルススとクロトンとの
力による闘い、ペトロニウスとティゲリヌスとの頭脳による闘い、
こうした場面での緊張感の伝わり方もすごいものがある。
何よりも信仰に関する言葉のすばらしさに感動せずにいられない。
キリストへの愛、キリストからの愛というものが
ペテロ・パウロを通じて信徒に伝えられる時には、
その場にいるかのように心に響いてくる。
闘技場での想像を絶する拷問の数々も目の前で繰り広げられるかの如き
表現力で戦慄が迫ってくる。
死を迎えるのがわかっているのに微笑みや歌、祈りを
絶やさない信徒の姿はあまりにも美しく崇高である。
狡猾なキロンの裏切り、そして悔い改め洗礼により生まれ変わった
キロンの姿も感動的である。
ユダが悔い改めていれば・・というような取り方もできる。
そして、リギアとウィニキウスの恋は語るまでもなく美しい。
このような作品にはもう出会うことはないだろう。
原始キリスト教の歴史やローマの歴史も史実ど通りではないが
細かく描かれており、文学のあらゆる要素が詰まっている作品だ。
ウィニキウスがリギアの話をしだした時から、
世界に入り、ラストまでひたすら読み進めてしまう。
少しでも読むともう無関心ではいれなくなる作品である。
訳のすばらしさがまた作品を偉大なものにしている。
こんな作品が1896年に出版され、
この世にあったことが何よりもの奇跡である。
ノーベル文学賞受賞作品だが、
そんなたかがいち文学のレベルなのだろうかと思ってしまう。