TVやせいぜい雑誌程度でしか知らなかったので、著者は極めて理系的な人なのだと思っていた。しかし、実際には外部から計り得ない感情や思考をいかに捉えるかということを研究しているようで、理系的なデジタルな手法を駆使して究極的なアナログの文系研究している人だと知った。そして本書では人間の思考の発露として文学作品が俎上に挙げられている。
「感動する」と言うことはどういう現象であるのかということについて、著者の「想い」というものが綿々と綴られていて、モノローグを延々と聞かされているような不思議な読後感のある本だ。著者も自分の考えを整理しながら書いていたのではないだろうか、後半はいろいろな話題が取りあげられる。インターネット社会に対する憂いは一般的だが、自分の生き方に対する捉え方は新鮮。現在の学会のあり方にも疑問を投げかけるあたりは痛快だ。
最後の結びで、科学と文学の関係を幾何学になぞらえて、解決するための補助線を探したいという結びはお見事。