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クォン・デ―もう一人のラストエンペラー (角川文庫)
 
 

クォン・デ―もう一人のラストエンペラー (角川文庫) [文庫]

森 達也
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

1951年、杉並区の粗末な貸家で孤独に息絶えた老人・クォン・デ。彼はフランス植民地支配からの祖国解放運動のため、45年前に来日したベトナムの王子であった。母国では伝説的カリスマであった彼が、その後なぜ一度も帰郷できず、漂泊の日々を送らねばならなかったのか…。満州国皇帝溥儀を担ぎ出した大東亜共栄圏思想が生んだ昭和史の裏ミステリーを、映画界の奇才が鮮やかにドキュメント。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

森 達也
1956年生まれ。ディレクターとして、テレビ・ドキュメンタリー作品を多く制作。98年オウム真理教の荒木浩を主人公とするドキュメンタリー映画「A」を公開、ベルリン映画祭に正式招待され、海外でも高い評価を受ける。2001年映画「A2」を公開し、山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞する。現在も映像・活字双方から独自の世界を構築中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 351ページ
  • 出版社: 角川書店 (2007/07)
  • ISBN-10: 4043625049
  • ISBN-13: 978-4043625048
  • 発売日: 2007/07
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.8 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 89,602位 (本のベストセラーを見る)
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形式:文庫
森達也『クォン・デ―もう一人のラスト・エンペラー』角川文庫

ベトナムの王子は、東京の片隅で、誰にも知られず息絶えた。ぼくの全く知らなかった歴史物語が、この本では語られてます。ひどく面白い本です。これまでの森さんの作品とは少し雰囲気が違うけど、ところどころで強く感じられる森さんの息遣いは、やはり森さんのものです。ただの歴史書でもなく、小説でもなく。それにしても、とぼくはつくづく思う(森さん風)、国家とはなんなのか、国家独立という夢は家族よりも重いものなのか、国家と国家のあいだで翻弄される人々のなんと多いことか。王とはなにか。ひとびとの希望とはなにか。どれほど多くの物語が、歴史のなかで消えていったのか、と。

時間が行ったり来たり。最後に森さんの思惑ががっつりと覆されるのが、またおもしろい。たんなる学者だったらこんな風には書けない。

森さんには、こういう仕事も期待してしまう。がんばって下さい。
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8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
明治日本には、中国はじめアジアから多くの改革家・革命家がきたけれど、日露戦争の後、「アジア解放」という日本のスローガンは変質してゆき、次第に日本に裏切られてゆく。というのが、超紋切り型日本とアジアの歴史です。この本も、ベトナムの皇族の一人が改革を夢見て日本に来て、そして裏切られるケースを扱っています。日本人は誰も彼のことを知らない。

しかし、面白いのは、小説仕立てのストーリーの後、それを覆すような現地取材のルポ。ベトナムの英雄だろうという思い込みは覆され、主人公の意外な姿が浮かび上がります。さすが「A」「A2」のドキュメンタリー作家。たんにアジア主義批判で終わらない。映像から文字へ移っても、納得できるまで現実に寄り添って考える姿勢は健在です。

「〜だろう」という思い込みを排して、アジア主義をしつこく考え、現地体験を重視する。著者の姿勢はジャーナリストとして健全です。もちろん、明治にあった可能性が失われてゆくという構成は、司馬遼太郎の「健全な国家=明治」と同じであり、それは容易にナショナリズムに利用されてしまうといううらみは残りますが。でも、「しつこく考える」著者と一緒に頭がよくなる気がするいい本です。
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6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
私たちは実に自分たちの近代史に対して無知ではないかと感じた。
自衛隊のエライさんが子供じみた歴史観をひけらかすことが、
実のところは彼が批判した自虐的歴史観と本質的にはいっしょでは
ないかと思う。

筆者である森達也の視点は必ずしもパースペクティヴではないかも
知れない。しかし、真実に近寄ろうとする姿勢に対して敬意をはら
いたい。日露戦争のラッキーパンチ的勝利から太平洋戦争敗戦まで
一体日本人は何をしていたのだろう。どうしてベトナムの革命家と
王子を失意のままにしてしまったのだろう。

ただ事実としてクォンデは日本で思いを遂げずに死んでいったのだ。
我々はそのことただひとつを忘れることは許されないと感じた。

是非ともこの本を手にして読んでいただきたい。どう感じるかはあ
なた次第でも、僕らはクォンデのことを知らなければならない。
それが現在を生き続ける日本人としての務めであるのではないか。
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