盲導犬の素質は血統が第一だが、家庭犬を母親とするクイールは決して盲導犬になるべくして生まれた犬ではなかった。そんなクイールがどうして、すぐれた盲導犬になることができたのか? 本書は「魔術師」と異名をとる多和田の訓練士としての苦闘を描きながら、クイールをはじめ多くの名盲導犬を世に送り出した「多和田マジック」の秘密を探っている。
日本では盲導犬教育とは犬が訓練士や使用者の指示に無条件で従う「服従訓練」だとされてきた。だが多和田は訓練を「教育」に変えた。彼のもとで育つ犬たちは、訓練を「楽しい」と感じている。自分の意志でいい仕事をしたいと願い、使用者のためになる行動をする。彼らは「いつも尻尾を振りながら楽しそうに仕事をする」という。だからこそ、多和田が育てた盲導犬たちは使用者とハッピーな関係を築くことができる。
訓練を「楽しい」と感じさせ、ほめることで仕事へのやる気を育てる──そんな多和田の姿勢は、盲導犬教育のみならず広く犬と人間の関係を考えるうえで役に立ちそうだ。(栗原紀子) --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。
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紆余曲折を経ながら氏が体得した訓練方法は素晴らしいものであり、その精神は盲導犬にとどまらず、家庭犬のしつけにも充分役立つものだと思います。下手なしつけ本を何冊買うよりも、この一冊で充分なくらいの説得力があります。
また、矢貫隆氏の文章もとても読みやすい上に、読者をどんどん惹き込むようなところがあり、その点からも大変質の高い本だと思いました。
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