この映画、ただのエロス作品と思ってはいけない。
これは、マルキ・ド・サドの書くことへの、異常とも言える執着を軸に、人間の善と悪、美徳と悪徳、潔癖と官能を描き出した大作人間ドラマである。
時折ユーモアさえ含んだ軽快かつ不敵なストーリーが、クライマックスに向けてどんどんと盛り上がっていく様は凄い。
こちらの興奮を掻き立てるような、燃え上がるような雰囲気に飲まれてしまう。
そして衝撃的なラスト。
私自身は観終わった後、しばらくはこの映画のシーン、シーンが頭から離れずに、まるでサド公爵にとり憑かれたようになってしまった。
このストーリーを一層盛りたてるのは、強者揃いのキャスト達。
主演のジェフェリー・ラッシュの演技はオスカー以上だったと思う。彼以外に誰がサド公爵をこんなにも激しく、狂気に溢れ、なおかつチャーミングに演じきれただろうか。
クルミエ神父役のホアキン・フェニックスも素晴らしい。清廉でありながらセクシーさも感じる、悩める聖職者がぴったりだ。
他にもケイト・ウィンスレット、マイケル・ケインという、オスカーノミネートだらけのこの豪華俳優陣。
私にとって、焼き付いて離れない映画となった。
人生を変えられたような衝撃作である。