現在リコーダーといえば小学校で使うソプラノリコーダーが良く知られているが、実はルネサンスからバロックにかけてのリコーダー曲はほとんどがアルトリコーダーのために書かれている。アルトリコーダーは落ち着いた柔らかい音がするので好まれたが、リコーダー自体がフラウト・トラヴェルソに変わられて一旦廃れた後、20世紀にドイツでC管のソプラノリコーダーが教育用楽器として使われるようになったのだ。
このような理由があるためか、日本で出版されているアルトリコーダーの教本は中学校で学習する時に使う学生向けのもの(および指導書)は見かけるが、それ以外ではあまり多くないのが現状だ。さらにその数少ないものを見比べていくと、この本が一歩秀でていると思われる。特に通常2オクターブ1音の音域で記載される運指表が2オクターブ5音まで拡大されていることと、段階に応じた練習用の楽譜が多く盛り込まれていることは大きい。
構成は実際の練習に即して、基礎から徐々にステップアップしていくようになっている。しかし項目に合わせてさらに高度なものと結び付けている部分もあり、初級者から上級者まで幅広く使えるだろう。なお、一部に現在のバロック式リコーダーには当てはまらない記述もあるが、それらは監修者によって既に指摘され、丁寧な解説とともに修正されている。