プライマルはアルバム毎にバンドの顔を豹変させる。それはたとえ前作が商業的に、或いは芸術的に大成功を収めていても、だ。バンドを牽引するボビー・ギレスピーは自らの地位を捨てることを決して恐れない。そして新たな大地へと向かい、飛躍し、転がり続ける。これぞ正真正銘のロックンローラー。そしてアシッド・ハウスとロックンロールの融合という一大実験作にして歴史的傑作となった『SCREAMADELICA』('91) の次作にあたる本作では、英国を遠く離れてブルースの聖地テネシー州はメンフィスまで赴き、プロデューサーにはアレサ・フランクリン、ウィルソン・ピケット、ロッド・スチュワートなどで知られるトム・ダウドを、ミキサーにはブラック・クロウズやリーフで有名なジョージ・ドラクリアス等を迎え入れるという鉄壁の布陣で、飽く無きまでにルーツ・ロックを探求し、ものの見事にアメリカ南部特有の泥臭くて適度にウェットな、痛快極まりないロックンロール・サウンドをモノにしてしまった。プライマルにとって初のダンス・シングルとなった前作収録の"LOADED"と、本作の1stシングルである"ROCKS"を聴いて、一体何人の人が同じバンドの曲であると判別できるだろうか。と言いつつも、その名の通り超ファンキーなダンス・チューン(4) Funky Jamや、本作で唯一のインストゥルメンタルである(8)Struttin'などには、前作で彼等が身につけたアシッド・ハウス的アプローチがハッキリと読みとられ、3rdアルバム『SCREAMADELICA』と本作『GIVE OUT BUT DON'T GIVE UP』は全く対照的な作品のように見えながら、実は同じ経路上に存在しているという点も非常に興味深い。ともあれ、ここまで路線を変更しながら二作続けて傑作を作り上げたプライマルに拍手。パチパチパチ。