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ギリシャ危機の真実 ルポ「破綻」国家を行く (Mainichi Business Books)
 
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ギリシャ危機の真実 ルポ「破綻」国家を行く (Mainichi Business Books) [単行本(ソフトカバー)]

藤原 章生
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

財政赤字隠しに端を発し、共通通貨ユーロの信用不安を引き起こしたギリシャ。なぜ国家は「破綻」に追い込まれたのか。真相を現地からリポートする。

内容(「BOOK」データベースより)

「最後の楽園」を襲った財政危機。国民の「怒りの深層」とは…。

登録情報

  • 単行本(ソフトカバー): 144ページ
  • 出版社: 毎日新聞社 (2010/8/31)
  • ISBN-10: 4620530247
  • ISBN-13: 978-4620530246
  • 発売日: 2010/8/31
  • 商品の寸法: 18.8 x 11.8 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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9 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By solaris1 トップ1000レビュアー
本書が南米文学的だというのではありません。本書に描き出される現在のギリシアの光景が、まるでマルケスやボルヘスなど南米文学のような幻想的な印象を与えるのです。「シュール」という言葉は、著者のインタビューを受けたアテネ在住の婦人の発言。起こっていることをテレビで見ながら、国民でさえ、「シュール」「ドラマ」と言ってしまう。

情報省の役人の、国の統計はあてになりません(p64)発言に続いて、財務省と内務省が「全ギリシア初の全公務員リストを作成するため7月に調査を始める(p65)」と発表し、その実態について労働省の役人がこう述べる。

「前から同じポストにいた人はどうなるかと言うと、解雇されず、別のポストに行くか、ひどい場合、同じ局長ポストに2人がいるなんてこともある。当然2人分の仕事は無いから、前の人は職場に来なくなり、給与だけもらい続ける幽霊公務員となる。私たち労働省の中でも全体の職員が何人いるか、どういう構成なのかよくわかっていない」

うーん。なんてシュール。そして、以下のように続く。

「基礎となる公務員の数さえもはっきりしていないのだから、ドイツのメディアのように何でもギリシャの政府統計やそれを基にしたOECDの数値で、「ギリシャの公務員は平均給与が高い」「年金もらいすぎ」と言うのはどうかと思う。根拠となるデータがいい加減なのに、それをもとに善悪をきめつけたり、白だ黒だというのは変じゃない?」

役人なのに調べようとしないのかしら?本日の毎日新聞に、国民の苦しい生活が一面に掲載されていました。同時に、増税したら脱税が増加し税収が減った、という話も。一方先週の読売新聞(だったと思う)では、「52歳で早期退職し、今は失業した家族を養っていて大変」と出ていた。今は大変かも知れないけど、52歳で早期退職して年金もらって、これまで楽してきたわけでしょ?と突っ込みたくなる。悲惨さと滑稽さが同居する世界はまさに南米文学な世界。

朝鮮戦争やベトナム戦争と比べると知名度は低いが、ギリシアは第二次大戦後、共産主義と右翼独裁政権の内戦となり、その後も軍事独裁、社会主義政権と、極端な道のりを歩んできたギリシア。著者が冒頭で言及した映画「旅芸人の記録」の世界が今なお続いているように思える。

以前シチリアを扱った書籍で、「支配者は来て、やがて去ってゆく。我々はずっとここで生きてゆく」というような文章を見たことがあります。外国人に踏みにじられ続け、「近代国民国家」さえもかつての支配者のように、信じられない心持が少しわかりましたが、本書を読んで、ギリシアもそうなのかも。と思えました。

累積債務が多いからといって、日本とギリシアは違うことは良くわかりました。しかし、誰かの責任にし続けて現実を見なかったり、良い思いをした時もある事を忘れて一方的に苦しい現状ばかりを主張していると、日本もシュールな世界になりかねない、とも思った次第です。

追記 11/2 ギリシャ二年債の入札金利が106%を突破したとのこと。この数値もシュール。
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8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
 日本と縁の薄いギリシャで起きている「ギリシャ危機」とは何?何がどう危機なの?
との疑問を持つ人にとってストレートに疑問に答えてくれる著作である。
 西欧文明の思想の根幹をなすといわれる古代ギリシャ文化と現在のギリシャとは
繋がりが薄く、オスマントルコに支配された影響が現在でも色濃いとの著者の指摘は、
言われてみればその通りだが、盲点を突かれたような気がする。エコノミストからだけの
情報だけでなく、人文地理的な知識も経済現象を理解する上で重要であることを実感する。

○EUとギリシャの関係を古代における中国と日本の関係として、また、第二次大戦後の
 ドイツとギリシャの関係を同じく日本と韓国の関係に置き換えて読んでみるのも示唆
 的である。                                     
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25 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 左党犬 トップ500レビュアー
 特派員としてローマに駐在する毎日新聞の記者が、足で稼いで書いた 「ギリシアからみたギリシア危機」レポートである。日々のマスコミ報道では知りようのない「ギリシアのいま」を伝えてくれるものだ。
 
 「ユーロ危機」の引き金となった「ギリシア危機」。一時期に比べたら「日本はギリシアになっていいのか!」というトンチンカンな叫びは沈静化したが、そもそも日本とギリシアはいっけん似たような地政学的ポジションにはあるものの、全く異なる歴史と文化をもつ国と国民であることが本書では確認される。
 一言でいってしまえば、現代ギリシアは、アングラ経済の発達した、いまだ近代化されていない「前近代社会」なのである。政治家が世襲される点は似ていなくもないが、すでに近代を通過し、「後近代」に入っている日本とは根本的に違う国なのだ。なんせ、統計データがまったくあてにならないのがギリシアである。

 経済的にみれば、民間需要に乏しく、公的支出に依存する比率のきわめて高い経済。公務員が増殖しても、一人あたりの給与は欧州の水準よりは低いため、副職を掛け持ちして生計を成り立たせている多くの人々。
 海運業と観光以外にこれといった産業のない輸入超過の貿易赤字国ギリシア。海外からの援助と借金、海外移民からの送金で対外収支の帳尻を合わせてきた島国ギリシアは、アジアでいえばフィリピンのようなものか。
 「欧州文明の原像」という他者イメージをうまく利用し、欧州のフリをして多額の援助を引き出してきたギリシアであるが、この虚像は崩壊してしまった。しかし、アングラ経済の発展でもわかるとおり、かなりしたたかに生き抜いてきた国であり、国民であるようだ。

 過去に特派員として駐在した経験をもつアフリカやラテンアメリカを踏まえた記述は、ギリシアをあくまでも「南の発展途上国」と位置づける視角を提供しており、「北の先進国」からすべてを断罪するワナを回避させている。
 ギリシア駐在ではなく、またギリシア語ではなく英語で取材する新聞記者のレポートであるが、「ギリシアからみたギリシア危機」という姿勢を貫いており、興味深く読むことができた。性急にわかりやすい結論を出そうとはしない姿勢に共感を感じた。

 ギリシアの行く末はギリシア国民自身の問題だ。日本の行く末は日本国民自身の問題だ。安易な比較論にあまり意味がないことを、本書によって確認すべきだろう。一読の価値はある。
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