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ギリシア正教 東方の智 (講談社選書メチエ)
 
 

ギリシア正教 東方の智 (講談社選書メチエ) [単行本(ソフトカバー)]

久松 英二
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容説明

カトリックともプロテスタントとも異なる「もう一つのキリスト教」。独自の三位一体思想など、知られざる深遠なる思想の奥義に迫る。

内容(「BOOK」データベースより)

カトリックともプロテスタントとも異なる「もう一つのキリスト教」。東西教会分裂の原因となった「フィリオクェ」問題、アトス山などの修道生活で発展した独自の瞑想技法、華麗にして深遠なるイコンの世界など、「東」のキリスト教思想の奥義に迫る。

登録情報

  • 単行本(ソフトカバー): 272ページ
  • 出版社: 講談社 (2012/2/10)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4062585251
  • ISBN-13: 978-4062585255
  • 発売日: 2012/2/10
  • 商品の寸法: 18.8 x 12.8 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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By ペルシャ猫 トップ500レビュアー
形式:単行本(ソフトカバー)|Amazonが確認した購入
本書はギリシア正教と一般に呼称される東方正教会の概説書である。
しかし、一般に流布している東方正教会関連の概説書とは赴きを異にしている。

第一に一般に流布している東方正教会に関する概説書は、総じて正教会に所属している人から見た、正教会の自己理解を出発点に自分達の信仰理解を啓蒙する目的で書かれているものがほとんどであるが、本書は正教会に所属していない東方正教会を研究する学者による東方正教会の歴史の概説書となっていることである。

第二に著者がローマ・カトリック(つまり西方教会)の信者であることから、主に、西方教会の信仰理解をベースに、東方正教会の信仰理解との差異を浮き彫りにする形を取っていることである。

従って、本書のあとがきで著者自身も述べているように本書の説明する東方正教会の信仰理解は正教会信徒には違和感がでる可能性は否定できない。明らかに西方教会の教義理解になじんでいる人向けの概説書である。

それでも、本書の存在価値は非常に高いと思う。
著者が正教会に所属していないことは、ある程度、外から見ると正教会の教義理解がどのように見えるかという示唆を与えてくれる。
一方で著者が西方教会の信徒でもあることから、正教会の信仰理解に対する見方があまりにも学術的・論理的な部分にのみに傾倒しないため、西方教会の教義理解になじんだ人間には自分の認識に引き寄せて考察をしやすくなっている。

もちろん、本書は講談社メチエという一般向けの本であって学術書ではないため、教義理解に関する考察に割けるページは限られており、かなり考察対象となる焦点を絞って、説明している。

その意味で汎用的な概説書とは言えないが、三位一体(正教会では至聖三者)やキリストの十字架上の死の理解、マリア理解など中心的な教義理解について、必要な説明がなされている。
前から「そうなのかな?」程度に思っていたことが、きちんと説明されていて非常に参考になった。

そして著者が本書で最も伝えたかったことは(割いているページは多くないが)、西方教会と東方正教会を分裂させている最も根本的な問題が、いわゆる聖霊発出の問題(フィリオクェ問題)であることは知られているが、その問題に対する西方教会(主にローマ・カトリック)と東方正教会の認識に大きな違いがあるということだろう。
東方正教会側が問題にしているのは、西方教会が考えるような三位一体論の教説に関する教義理解の差異にあるのではなく、公会議で決定したキリスト教の基本信条であるニケア・コンスタンティノープル信条の条文そのものを同一の文章で共有できないことなのだということを著者は力説している。
著者の望む形が今後、実現するかどうかは何とも言えない所だが、ここには学者というよりは信仰者としての熱意が伝わってくる。

ただし、フィリオクェ問題にそれほど興味が無い方でも、この本は西方教会の教義理解になじんだ人には多くの示唆を与えてくれる本である(実際、フィリオクェ問題に割かれているページはそんなに多くはない)。

東方正教会に興味がある人には一読の価値があると思う。
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形式:単行本(ソフトカバー)
東方キリスト教会〔正教会〕は、日本人には馴染みのないキリスト教だと感じる。日本人が“聞いたことがあるレベル”の正教会は、ロシア正教やギリシア正教(私は20世紀のキプロスの賢人・神秘家ダスカロス関連でキプロス正教を知ったけれど)だろう。いやいや、東方キリスト教が正教会だということを知らない人もいるかもしれない。そんな私達が全く知らない正教会の「歴史・教義・西方教会との相違・現況」が教養書として一般読者向けにスッキリと270頁にまとめている良書。

本著者は『祈りの心身技法―十四世紀ビザンツのアトス静寂主義』や訳書ルドルフ・オットー『聖なるもの』があるので、この道〔神学・宗教学〕の著者として間違いないと感じる。

本書には「正教会とカトリック,プロテスタントの違いは何なの?」といった素朴な疑問への回答になりそうな話しも明快に著述されていて、これから東西キリスト教を横断的に知りたいと考えている人にはうってつけの本になるかもしれない。

特になるほどと思ったのが《フィリオクェの問題》。私自身「フィリオクェ」という用語の意味が始め分からなかった。「西方教会が全世界キリスト教会議〔コンスタンティノポリス全地公会議〕で信条文を勝手に変えてしまった」というものらしい。東西キリスト教の大分裂〔大シスマ〕の契機になったといわれている問題だそうだ。

東方正教会 信条 ⇒「聖霊、父より出で…」
西方教会 信条 ⇒「聖霊は、父“と子”から出て…」

全教会会議で条文を改変することは禁止されていたにも関わらず西方教会が「子から」も聖霊が出ると改変してしまったのだそうだ。東西教会の相違点は様々あるが、イエス・キリストの死をめぐる解釈も全く異なり、信仰態度にも違いがあるようだ。また、ヘシュカズム〔静寂主義〕については簡潔にまとめられていて参考になります。
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By モチヅキ VINE™ メンバー
形式:単行本(ソフトカバー)
 本書はカトリック教徒である1957年生まれの神学(ヘシュカズム)研究者が、2012年に刊行した東方正教会全体の歴史と現状に関する教養書である。本書によれば、第一にキリスト教の公認と国教化に伴い、皇帝主導の全地公会議による教義の統一が図られたが、その過程で非カルケドン派の東方諸教会の分離と、五総主教座間の地位に関する問題(後に教皇首位性とペンタルキアの対立となる)が顕在化した。第二に、聖画像論争の中で地域管轄権の問題も生じ、教皇は次第にフランク国王に接近するようになった。第三に、6世紀の西方でニカイア・コンスタンティノポリス信条にフィリオクェが補挿され、それを後にフランク人がビザンツ人との論争の場に持ち込んだ。フランク人はスラヴ地域への布教に関してもビザンツ人と対立したが、教皇自身は11世紀までフィリオクェ付き信条を認めなかった。著者はこのため、フィリオクェの削除を支持する。第四に、1054年の相互破門は結果論として大シスマを引き起した(第四回十字軍がそれに拍車をかけた)が、形式的には大シスマは存在しない。第五に、正教にとっての神学とは、信のうちに神との一体智を求める全人間的営為であり、その土台は聖書と使徒的伝承(信条・教会法など)の重視、至聖三者信仰、永貞童女・生神女マリア崇敬、神化と協働の重視、イコン崇敬にある。正教ではマリア論は欠如しており、陰府への降下は復活の象徴とされている点で、カトリックとは異なる。第六に、ヘシュカズム=静寂主義とは、心身技法を伴うイエスの祈りを通じて内的静寂を実現し、神の光(タボルの光)の観想により恵みの働きを活性化させようとする、正教に特徴的な霊性運動である。第七に、ギリシア正教は一国家ないし一民族単位の独立・自治教会組織から成り、本書ではそれぞれの略伝と現況を掲載している。
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