淡々と淡々と一人の老ウェイター(ギャルソン)の日々を追います。イヴ・モンタン演じるアレックスは60才代前半くらいの設定。20年前に事業に失敗して離婚。それ以来アパートでちょっと屈折した居候ジルベール(ジャック・ヴィルレ)と生活を共にし、中の上くらいのレストランで給仕長として働いています。登場人物も普通で派手な事件がおきるわけでもないこの映画ですが、不思議とすごく面白い。それは、やはりこの初老のウェイターの生き方が心地よいからだと思います。60代前半の男がこれだけチャーミングに見えたことはありません。人生の山谷を味わい尽くし、現在は自分サイズで片意地を張ることなく暮らしています。仕事に精通し、恋を忘れず、ちょっと人と距離を置きながらも友人のために本気で怒る男気も残していて、おまけに遊園地をつくるという素敵な夢を持っている。かの年でかくありたいと、観ていて本気でそう思いました。フランス人って人間が好きなんですねぇ。どうしようもないくらい厳しい現実的な映画もつくるし、こういう洒落た映画も作る。どちらも人にぴったりピントを合わせてありのままに描き出そうとしている結果なのか。アメリカ人のドラマチック好きとはやっぱり根本的に違います。イブ・モンタン最高の一本。