日本語訳は1998年12月10日リリース。クレーメルは現在まで3冊の本を書いているが、邦訳されている2冊の内の一冊である。
読み出すと『へえ』と言いたくなるようなエピソードばかり。最初に演奏することでギャラを貰ったのはお葬式だったり、ショルティの下手くそなコンサートの後にわざわざ楽屋まで行ったのに適当にあしらわれたり、演奏会にヴァイオリン・ケースだけ持っていって中身を忘れたりと驚くようなエピソードばかり。作曲家に対するコメントより、世界中を回るコンサート会場やホテルでのエピソードが多い。
弾いていてヴァイオリンの弦ではなくて、弓の方が切れてしまった話とか、マイスキーは3本も弦を切ってもコンサートを凌いだ話とか、リヒテルが演奏していてピアノのペダルが壊れて、職人がまるで車の下に潜るようにして修理し、その後何事もなかったかのように最初からベートーヴェンの後期ソナタを弾ききった話とか・・・・・驚きの連続である。そういう意味でも面白い一冊だ。