このエメット・レイって全くの
架空の人物なんですよね。シャレたお遊び感覚でありますw
原題の『Sweet and Lowdown』はガーシュインが作曲した同名ナンバーからの引用だと思いますが、劇中にこの曲は使われておりません。フランスの有名なジャズ・ギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトを崇拝しているエメットのキャラクターが素晴らしく秀逸です。
うぬぼれ屋の見栄っ張り。浪費癖に盗癖もあるエゴイスト。ドジでどうしようもないバカ。愛すべき男。
しかしギターをもつと、しなやかで優しい。音楽にしか
痛みを感じない身勝手な天才。
「俺は世界一のギタリストだ。但しジャンゴは別格」が口癖で、実際の演奏は超一流。
コレだけ性格が屈折してるのに、何故か滑稽で可愛らしい。
この男が天才たる所以はテクニック以上に
心に抱えた闇でしょうね。少年期から抱えた傷。
それが、音楽にだけ表れる。
「俺は自由な男だ。束縛されるのは好かん。結婚は主義に反する。
お前と別れるのは俺のためだ」と
数々の女と付き合ってはすぐに別れる。
それはヒロインのハッティに対しても繰り返されるんだけど
彼女に対してはいささか様子が違ってくる。
彼女は、エメットの本当の音楽の理解者だし
エメットにとっては、ハッティは音楽以外に感じることのできる
唯一の「痛み」なんじゃないか。
最愛の女性こそハッティだった、決して失ってはいけない「魂」だったのだ。
冒頭にもかいたが、とにかくこのハッティとエメットの
「会話」には泣かされる。
ウディ・アレンのしっかりした視点、人間への優しさも満ち溢れている。そして何よりエメットの演奏シーンはエクセレントの一言。