アジア人で最初のノーベル(文学)賞受賞者であるタゴール自身が書いた103の英文詩とその日本語訳です。絶望し救いが欲しい人や死を恐れる人などへの福音の詩と言えます。浅薄な形だけの宗教ではなく、神、愛、人生などの本当の意味が問われています。内容の理解には訳者の詳細な注が助けになります。一例を挙げると、以下の詩には:
“寺院のこんな寂しい暗い片隅で、おまえは誰を拝んでいるのか?おまえの目を開けるのだ、そして見るがよい − おまえの前に、神がいまさぬのを。農夫が固い土を耕しているところ、道路人夫が石を砕いているところ、そこに 神はいたもう。”
訳者の森本氏は“真の礼拝は、数珠のつまぐりや、瞑想ではなく、額に汗する労働である”と解説をしています。日々の労働に神を見るという姿勢は、たとえばキリスト教のキング牧師も同じ事を言っています。この詩に限らず全体に渡って、ヒンズー教の深い信仰に根ざした詩なのですが、無宗教の人でも、他の宗教の人でも、共感を呼ぶ内容といえると思われます。タゴールを世界に紹介したノーベル賞受賞者のイェーツの序文も感動的です。また、訳者による巻末の解説もタゴールの生涯などについて詳細に書かれており、すぐれています。