おそらく「キーポイント」シリーズでは最も難しい一冊。複素関数論は実数の微分積分学、解析学を複素数に拡張したものであるので、当然、実関数の微積分の知識が前提とされる。だからそれを知らないと複素関数論は段々分からなくなる。複素数に関する従来の誤った認識をガウス平面を用いた「回転」という概念で再認識させる1章、複素関数の微分可能性を吟味し、正則関数を定義した2章、三角・指数の複素空間での相関性を示す3章は複素関数のベースと実関数からの拡張を分かりやすく解説している。しかし2章において既に微分可能性を判定するコーシー・リーマンの微分方程式が出現し、4章以降から留数を扱う8章、リーマン面を扱う9章まで微積分と微分方程式のオンパレードなので、実関数の微積分、!微分方程式の理解・復習が望ましい。ただそれらの知識がなくても3章までなら何とか読み通せ、十分に実関数と複素関数の相違を認識することはできる。