この作者、やはり巧い。
前巻までで、どちらかというと血で血を洗う激しい戦闘、闘争心こそが前面に出るような戦いを描きながら、一段落したこの巻では、趣を変えて軍師、というものに焦点を当てて見せた。だから激しさ続きだった物語の一休みになると同時に、別の楽しさのために、面白さ自体はまるで損なわれずに前につながっていく。
もちろん、今までの展開からしても、軍略というのはこの物語のとても重要な要素である。だが、ここであらためて飛信隊専任の軍師の話に絞ってみせることで、軍師の存在自体が新鮮に映る。同時にそれを、仲間とか、成長とかいう、このマンガの中心的なテーマと巧く結び付けているのがいい。気持ちよく読める。
今回は軍師が第一の主役なのだが、「バカ」とされている信も、戦いで活躍するだけでなく、ときどきすごく鋭いことを言う。こういうときの信はほんとかっこいい。頭は単純なヒーローがここ一番で決めゼリフ、というのは『ワンピース』のルフィや『ナルト』のナルトの場合を含めて、よくあるパタンだろうけれど、信のそれは、とくに練り上げた言葉として含蓄があり、この少年の底知れぬ懐の深さのようなものを感じさせて期待感がある。 隊としてもいよいよパワーアップして、今後がますます楽しみである。