この映画は1970年代中頃にカンボジアで本当にあった大量虐殺の時代を命からがら生き延びたカンボジア人通訳ディス・プランとアメリカ人記者シドニー・シャンバーグの友情を描いたものです。
ベトナム戦争の多大な影響を受けたカンボジア国内では領土問題、内紛など様々な権力争いが起こっていました。フランスとの問題、アメリカ軍の問題、日本も大きな干渉をしていたこの地域で、タイとベトナム、(比較的争いは少なかったが)ラオスに挟まれているという地理的要素も重なって、カンボジアは苦悩の歴史をたどった国の一つでもあります。国民は仏教徒が多く、地方の人々は比較的政府、政治には無頓着で、国家というよりむしろ農村や集落を中心にし、かつお寺を中心にに組織されていました。一方プノンペンなど都市部の人々の知識人はある程度の政治思想を持つものも多く、ポル・ポトもカンボジアでは稀な、ちゃんとした教育も受け、フランスへ留学をし、学問を得る中で共産主義と出会い、政治色を強めていったといわれています。帰国後、政治活動をする中で政府や大国、隣国に対する期待と、そして度重なる裏切り、それがやがて憎悪に変わりジェノサイドに発展していった結果がポル・ポト政権の悲しいシナリオを形成していったといっても過言ではないでしょう。そんなポル・ポト政権下で内政が急変する中での外国人退去。カンボジア人プランとの別れが一つのメインストーリーとなっています。
仲間だったプランを置いてきぼりにしてしまったことへの葛藤と、有識人ほど処刑されるということを知ったプランの生き延びようとする姿、逃亡する姿を上手く描写したこの作品は本当にたくさんの人に見て欲しい、素晴らしい映画です。
この映画を以ってカンボジア大虐殺を全て理解できるとは到底言えたものではありませんが、歴史を知る切欠となりうる素晴らしい作品であることには変わりありません。ぜひ、多くの方へ伝え、多くの方に見てもらえることを望んで止みません。ぜひご覧下さい。