キリムを販売することを生業としている著者によると、キリムの模様には呪術的な意味が隠されており、またトルコ人、遊牧民の家族関係、女性の社会的な地位、イスラム教などと密接な関係があるという。また、地方によっても柄、色、糸が異なることや、キリムの模様を見れば、いつの時代にどんな人が織ったものか、追跡さえできるのだという。
研究が始まったのが60年代以降で、トルコが貧しい時代に骨董的な良いものは高値で取引されることが分かったたため、田舎に眠っていた骨董的キリムの多くが欧米のコレクターに売られてしまったことや、キリム販売がトルコの奥地、東部の田舎からイスタンブールに出てきた若者が始める商売に適していたこと、田舎の女性にとってキリムは嫁入り道具でもあり、現金を稼ぐ手段であった、など現代のトルコの歴史、経済とキリムが深い関係にあることも語られる。
家の床に何気に敷いてあるキリムだけれど、トルコ史のみならず、遊牧民の生活や、女性の役割、模様と呪術など、いろいろなことを考えさせられる良書。
トルコ史好きにも、是非。