タイトルだけを見れば、この手の本なんて腐るほどありそうなものだけれども、そして
事実、世界中に浜の真砂のごとく溢れているには違いないのだが、概説書としてこの程度の
分量で読めて、一応の範囲をコートして、水準もそれなりとなると、困ったことに、実は
なかなか見当たらない。2000年を積み重ね、なおかつ世界中に濃密に入り込んだこの宗教の
歴史をコンパクトに削り落とす作業の困難を思えば、それに着手すること自体が無謀といえば
無謀、ゆえに、それもまたやむを得ぬこと。そうして結果残るのは、日本語では実はこの本
くらいしかないのかもしれない。
世界史の中にキリスト教を位置づけるこの試み、全編で250ページ、簡潔といえばあまりに
簡潔、それってどうなんだ、と疑問に思う箇所もないこともない。けれども、入門書としては
事実良書である、とは思う。