女性を殺害し、死体を焼却するという猟奇的犯罪が連続して発生。
3番目の被害者の女子高生、神崎花恋と付き合っていた同級生の甘祢山紫郎は後追い自殺を考えるが、銀髪の女性、音宮美夜に引き止められる。
彼女は警察から依頼を受け、「共感覚」を使って捜査する探偵だった…。
第43回メフィスト賞を受賞し、2010年に刊行された本作品は、ミステリのとしての骨格はしっかりと保ちつつ、読者の期待を裏切らない傑作。
1.【共感覚】
「音に色を感じる」という共感覚を持つ音宮美夜。
この特殊な能力が捜査に活用される、というのは当然の展開で、ミステリ作品として求めるのは、さらに一歩進んで、その設定を活用したアイデアについて、どんな隠し球を用意しているか、ということ。
最後に明かされる意外な使われ方は高評価できます。
2.【意外な動機】
「なぜ死体を焼却するのか?」このハウ・ダニットに期待させられるのは、動機の意外性。
これについても、水準以上の出来。
内外のミステリを多く読んでいる方なら、「百番目の男」(ジャック・カーリー著)に匹敵するという意見に納得できると思います。
3.【巧妙な伏線】
1.や2.がいくら意外でも、伏線がきちんと張られていないと、ミステリとして合格点は与えられませんが、本作品はこの点もクリアしていると思います。
しかも、次のように「小説本体」以外にも、工夫が凝らされている点は高評価。
(1)題名:表向きの意味は、「共感覚」ですが、カタカナ表記となっているのは、第2、第3の意味が隠れているから。
(2)表紙:美少女系イラストですが、ここにも後半の物語展開を示唆する「伏線」がある。
(3)作品紹介文:「凶感覚」という言葉は本文に出てこないが、これは、事件の裏に、「凶々しい感覚というべきもの」が潜んでいるという暗喩。
「意外な動機」の内容を知るだけでも、読む価値はある作品だと思います。