主人公の幼い頃の不思議なエピソード=プロローグから、もう此のお話に引き込まれます。
現代の医療に関しての様々な問題を投げかけながらも、物語を読む面白さ・エンターティメントとしても非常に、うなってしまうくらい良い小説です。楽しめます。そして深いです。
「手術はいたしませんから」とガンの早期発見にもかかわらず、現代医療を拒否する男。逆に末期ガンで助かる見込みも無いのに、科学的医療にすがる若者。主人公を支えるリストカットの常習少女キョウコ (この子が弱っていく主人公のためにご飯を炊こうと炊飯器を買いに行こうとする場面に泣ける)。シャーマンの重度障害者アイちゃん。安楽死をさせる看護士の白川まな子。
登場人物も面白いし、物語の展開にも揺さぶられます。医療、尊厳、生命科学、哲学と根源的な問いかけに直面させられます。「しょせん人間、まぁいいか」とも思わせてくれます。
そうだよな、助かる見込みの無い患者であっても安楽死させる権利を 誰も持ってないように、死に往く人をチューブだらけにして無理矢理生かす権利も 誰にも無い なぁ。 地球を一つの生命体としたらコンクリートを増殖させている人間こそ ガンだよなぁ。
主人公の云うように「生命に理由はない」そして「答え」もなく人は死んでいくのか なぁ。
エピローグ・物語の終わり方は、人のイき方の理想なのかな。