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12 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
テーマの組織論として実に斬新な切り口,
By 和泉 茂一 "シゲ" (山梨県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: キャリアで語る経営組織 --個人の論理と組織の論理 (有斐閣アルマ) (単行本(ソフトカバー))
内容は実学に近いところでの組織論というか,会社人生を背景に組織論を議論し,個人の論理がどう変化していくかを説くストーリー調です.もっと簡単に言うと,『入社』,『昇進』,『部下を持つ』,『内部葛藤』,『組織をまとめる』,『事業をまとめる』,『会社をまとめる』,『社会に貢献』とキャリアがステップアップしていく中で,元々は個人の理論が先行していた会社人生がどんどん会社側につき変わっていく,その中での組織のあり方を学者の見識をも交えて議論していく流れです.個人と組織のあり方をHow to 本の視点ではなく,組織論的な学術的視点を織り込み解説しています.専門書に比べると平易で読みやすいのですが,コラムなどを使い専門用語の解説も外さない,組織論初心者や経営学部の学生向けを意識した書き方です. 最初の章立てはまさに学生がこれから社会人になる過程で生じる組織論的な疑問に答える形式で,専門書版『課長→社長 島耕作』をイメージできます.自分が実際に会社ホヤホヤ,入社直後にはここに書かれているような疑問や悩みはあったように思えることが不思議で,いつの間にかこんな年齢になっていますが,読んでいる内に新鮮な気持ちになれます.それにしても大学の先生は会社経験はないはずなのに,結構リアルに描けていることにも驚きます(経験豊富な先生方ばかりなので当然かも?). 転職の際(仕事に疑問を感じて)に考えることとして,キャリアデザイン,キャリアドリフトのことが述べられており,実に興味深かったです.小生の転職はここまで考えてはいなかったと反省した次第です. 後半にさしかかると,『個人から集団』への発想の転換が論点となっています.基本的に仕事の範疇が大きくなればなるほど個人一人での業務遂行に限界が出てきます.これは個人一人の能力には限りがあり,業務範囲を大きくするには集団として活動をする必要があるからで,個人は必ずどこかで集団として組織を動かすことが必要になると言うこと.この境界は仕事人生のどこかで必ず現れるはずですが,ハンドリングする集団の大きさは個人毎に様々かもしれません.10人程度のチームリーダであったり,そのチームの大元をまとめると,10チームあれば100人をまとめることになります.会社であれば,1000人規模は珍しくないわけで,そこの社長は形の上で1000人を統括していることになります. この集団としての組織において,まとめる行為は簡単ではありません.考え方が違う,性格が異なる,そもそも意思統一を嫌う人もいる,でも集団としてまとまらないと組織としての力は出てこない,ではどうすればいいのか? こういった疑問にぶつかるヒトは結構多いのではないでしょうか? こう言っている小生もまったく同じ疑問(壁?)を持っています.端的に言うと答えはないのですが,答えがないなりにも組織をまとめる必要はあるのでコンフリクトは起こるわけです.組織はそもそもコンフリクトを生む素地を最初から持っていることに気づくべきだと述べられています. 強い組織を創るにはこのコンフリクト(ここでは非生産的なものを指します)が無い,もしくは少なくすることが重要です.組織の目標や価値観が個人と整合していること,これは経営トップの考えが深く浸透していたり,会社の方向性に強く共感できたりすることを示します(書籍では情緒的コミットメントが強い個人の集団と説明).共通の価値観を持つことは非常に重要だと言うことです. ただ,新しい価値観が組織内に発生した場合,激しい抵抗が生じることは良くある話で,これは以前の組織における情緒的コミットメントが強いからだと述べられています.組織文化を変えることは簡単でないこと(例えば,買収した会社がなかなか言うことを聞かない等)も,ここから考えると当たり前の話かもしれません? 後半は経営企画や経営者の立場から会社を考えると言う想定,組織のグランドデザインの有効性を示唆したうえで,『機能別組織』,『事業部制組織』,『マトリックス組織』を説明しています. 古来,組織は部門毎を機能別に専門化することで個々の専門性を高め,業務効率を上げる『機能別組織』であったのですが,組織が大きくなるに従い『事業部制組織』に移行してきた背景があります.事業部制は1920年代にデュポンが採用したことが元祖であり,続いてGMが本格導入しました.日本企業では1933年の松下電器での採用が最初だといわれていますが,現状の上場企業では一般的に採用されています.事業部には自立的な事業運営を行う上で必要とする機能を包括しますが,実際には調達や販売,人事,経理等の機能を個々の事業部の中には取り込まず,本社レベルで共有しているケースが一般的です.これは,機能別組織と事業別の組み合わせ的組織,『機能別事業部制』と呼ばれており,事業部制と機能別組織のデメリットを補う形での最適解と言えるモノでしょうか? 事業責任は事業部門、必要な機能を提供するのは機能部門、全事業および全機能を統合し責任を持つのは本社という形態です. この他に,複数の目標を同時に実現するためのマトリクス組織は,「職能別」,「製品別」等の2軸からなるマトリクス状で業務をまとめるわけです. 3次元マトリックス組織を採る例もあるようです.こういった説明が会社に勤めている中での実態として描かれていることが本書の特徴ですね. これまでの難解な経営学専門書,わかりにくい組織論をこうも実学に則した形で説明できている事に,驚きを感じると共に,組織のあり方にこれまで以上に興味を持てるようになる一冊だと思いました.
6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
組織の内側からの視点で、組織論を気軽に学べる良書,
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レビュー対象商品: キャリアで語る経営組織 --個人の論理と組織の論理 (有斐閣アルマ) (単行本(ソフトカバー))
自らが本書の主人公となって実際にキャリアを進める感覚で、様々な現象について考えながら読み進めていけるところに、本書の特徴がある。これまで、「組織論」という学問は、組織の外側から観察するということに重点をおいて研究されてきたのだが、本書では、組織の“内部”の人間を軸として様々な現象が語られているため、より身近で実践的に感じられた。「そもそも会社って何?」というような素朴な問題意識からスタートし、入社して実際に組織の中で働く中でぶつかる問題(例えば、部下の指導方法、意思決定の難しさ、コンフリクトなど)を解消すると、後半はトップとして組織のマネジメント方法を考えていく、といった構成となっている。また、最後には組織の現象だけでなく、「経営者としてビジネスを成功させるには?」という疑問から、経営学の競争戦略の世界にも引き寄せられる内容であったところも面白かった。 本書を読み終えると、身近に存在する様々な現象を、「経営組織論」のレンズから考えられるようになるだろう。経営学をこれから学びたいと考えている人にとっての入門書としても非常にわかりやすく、また現段階で経営学に興味のない人にとっても、組織や職場での身近なことを立ち止まって考えるきっかけを与えてくれる良書だと感じた。
4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
働いている人は読んでみると良いと思う。,
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レビュー対象商品: キャリアで語る経営組織 --個人の論理と組織の論理 (有斐閣アルマ) (単行本(ソフトカバー))
経営学は全く門外漢なので、他の組織論の本と比べてどうかはわかりません。しかし、この本は架空に設定した「あなた」の目線で入社〜引退までに経験する様々な事象 (「働くとは」「組織とは」といったこと)を学べます。 働いている中で日々感じることを経営学的な視点で見るとこうなるのか、と知ることができるので 出版されては消えてゆく妙な自己啓発本よりは断然身に残るものがあると思います。 組織に属して働くということを、一度学問的な見地から眺めてみたい人にはお薦めできる本だと思います。
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