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キャラ化する/される子どもたち―排除型社会における新たな人間像 (岩波ブックレット)
 
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キャラ化する/される子どもたち―排除型社会における新たな人間像 (岩波ブックレット) [単行本]

土井 隆義
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

価値観が多元化した社会で感じる閉塞感。気遺いに満ちた「優しい人間関係」のなかで圏外化におびえる恐怖感。ケータイやネット、家庭から学校といった日常は、過剰な関係依存と排除で成り立っている。子どもたちにとって、現実を生き抜くための羅針盤、自己の拠り所である「キャラ」。この言葉をキーワードに現代社会の光と影を読み解き、「不気味な自分」と向きあうための処方箋を示す。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

土井 隆義
1960年生まれ。筑波大学大学院人文社会科学研究科教授。専攻は社会学。大阪大学大学院人間科学研究科博士課程中退(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 63ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2009/6/5)
  • ISBN-10: 4000094599
  • ISBN-13: 978-4000094597
  • 発売日: 2009/6/5
  • 商品の寸法: 20.8 x 14.8 x 0.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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By お気に召すまま トップ1000レビュアー
形式:単行本
『個性を煽られる子どもたち』『友だち地獄』などで、子どもや若者の心性の鋭い分析を提示した著者が、考察をさらに一歩進めた本。最近の若者の多くは、ケータイが「圏外」表示になると、何ともいえない不安を覚えるという。ケータイで親しい友人とつねに繋がっているはずの自分が、そこから排除されたように感じるからである。秋葉原事件を起こした犯人の青年Kも、ネット掲示板にケータイから書き込んだ自分のメッセージに、誰からもレスが付かないことに絶望したといわれる。ケータイは誰とでも繋がることのできる中立的な装置のはずだが、人間は自分に心地よい相手とのみ繋がる傾向があるので、そこに新たに成立する親密圏は、異分子を排除しようとする働きと一体のものであり、排除される者の孤独や絶望をつねに生み出し続ける。この新しい親密圏のコミュニケーションを円滑に行うには、気配りと細心の注意が必要であり、他者を傷つけない「優しい人間関係」を演じる「深入りし過ぎない自我」が求められる。そうした自我に対応するのが「キャラ」であり、「キャラ」は、対人関係に応じて意図的に演じられる「外キャラ」と、生まれもった人格特性を示す「内キャラ」との二重構造から成っている。従来の自我を表す「アイデンティティ」が、いくども揺らぎを繰り返しながら、社会生活の中で徐々に構築されてゆくものだったのに対して、「キャラ」は輪郭が明確で固定的であることを特徴とする(p24)。このような自我とコミュニケーションの変容が、モンスター・ペアレントの出現や、秋葉原事件のような自爆テロ風の青年犯罪などの背景にあるのだ。フィルタリングという技術に頼ったケータイ規制では、健全さと暴力性が紙一重であるネットの本質から生まれる病理現象を解決しないと、著者は言う。
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9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
 著者によると、延々と経済停滞が続く現代の日本では、未来は現在の延長でしかありえず、今の日常が限りなく続いていくだけ(p.32)だから、人もそこでは成長(変化)せず、生来的なもの(生まれもった素質)が重要で、努力(後天的なもの)は大勢を変えず、異質な他者との出会いなど避けるべき(危険で迷惑なだけ)と考えられている。これは排除型社会であり、子どもたちの生活もそれに対応したものとなっている。
 今の学校のクラスには一体感がなく、子どもたちは小さく分かれたグループのなかで日常生活を営み、格や身分が違う他のグループとは交友関係を避ける。これがスクール・カーストであり、違うカーストは圏外であり(敵でさえなく)、関心はグループ内にのみ向かう。
 子どもたちの交友関係はフラット化し、対等でない「上から目線」は嫌われ、摩擦のない「優しい関係」が求められるのだが、そのためコミュニケーション能力こそ(だけ)が重要となり、この能力が(逆説的だが、それゆえ強力な)序列化をもたらす。グループには変化(成長)が想定されず、成員は固定した役(キャラ)を演じ、このキャラの管理には先の能力が拘わり、特有のいじめも生ずる。キャラは、特定の物語を背後に持つ(成長も可能な)キャラクターから変容した、どんな物語にも使い回せる(物語性を背負わず成長しない)プロトタイプを示す。ケータイなどのネット環境が、この身近で同質なつながりをさらに強める(時空を超え異質な人とつながれる技術が生み出した、逆説として)。

 著者は、このような排除型とは違う、包摂型(共生)社会に向け、異質な他者と出会うことの大切さを終章で説いている。しかし、「延々と経済停滞の続く」消費社会化した日本のあり方が変わらない限り、それは難しいのではないかとまずは思えた。
 だが、今や「未来は現在の延長でしかありえず」と軽々しく言えないとも感じた。非正規雇用(や失業)の増加は、所得の水準(つまりは、私たちの暮らし)について、「未来は現在の延長」が成り立たないことを示すのではないか。つまり、現在の日本は延長(永続)しない。更に今回の震災(と原発事故)も影響をもたらすだろう。変化しないことを前提に維持される「スクール・カースト」は、必然的に(好転するか問題だが…)変容していくと思えた。
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12 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本|Amazonが確認した購入
本書の内容詳細は他レビュアの方が明晰に記しているので割愛する。本書を読んだ完全な私論なのだが、本書は価値相対の果てに辿り着いたポストモダン状況の最悪の側面が露呈した結果ではないか。そもそもモダン=近代であってもアイデンディティの保障は他者との関係性の中でしか原理的に成立しないものだ。だが、そのある意味での強固さを解体しその最果てに主体を確立する中核あるカウンター・カルチャーを喪失した現在がある。無論。僕は近代の回復や父性の復権などというマッチョな思想を後押しするつもりなどまったく無い。むしろ、それ自体がポストモダン状況の曖昧さに耐えかねて単純な理念に縋っている現象の一つだと考えている。しかし、すべての価値が差異の戯れでしかない状況の結果、近代以上に自己の安定性を図る基準が、曖昧かつ流動的な他者との関係にがちがちに依存する状況はあまりに残酷ではないか・・・。いま日本にいる僕達は「経済大国」としての日本が瓦解し、それよって担保されていたアイデンティティの拠り所も失った。異質な他者をネット上ですら観えないようブロック。禁煙運動や有害漫画の排除に見られるデオドラント現象の強まり。ますます広がる格差の進行。それとともに自己閉鎖的な愛を中核にした個人を甘えさせてくれる村上春樹氏の大ベストセラー状況の継続。この現実の中でポストモダンの無責任さからも距離を置きナショナリスティックなマッチョ思想も退け、どう生きるかを確立することは、ほんとうの意味での『自由』の中でじぶんとは何かを強く求める生き方を徹底的に考え抜く事が求められる。
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