主人公は、江子、摩津子、郁子の女性3人。皆ほぼ60歳で、理由は何であれ全員独身。東京の小さな町の商店街で、惣菜屋“ここ家”を3人で切り盛りしています。
各章には、料理や食材名のタイトルがつき、主人公たちの過去と現在の出来事が交錯するように物語が進んでいきます。毎章いいエピソードが出てくるのですが、「芋版のあとに」は胸がキュンとなるような話で、とくに印象に残りました。
惣菜屋にかぎらず家の中や野外など至る所で、様々な料理が、素材を変え、味付けを変えと登場し、常にいい匂いが行間から漂ってきます。(本の題名になっているキャベツ炒めは、ニンニクバターで炒め塩・黒胡椒で味付けと、読んでいるそばから作って食べたくなりました。)そして季節の移り変わりを、食材や時おり出てくる花で、うまく表現しています。
惣菜屋に配達にくる米屋の青年・進というエッセンスも加わり、ありふれた日々の生活の描写なのに不思議と面白く、最後は、心に晴れ間がどんどん広がっていくような感じで、正に、表紙の絵柄のように、ほんわかしてくる読後感でした。