本書には訳者の解説が加えられる予定であったのが、
原著者の要請によりそれが出来なくなったとある。
そのかわりに「キャッチャー・イン・ザ・ライ」を語ると題した、
村上春樹・柴田元幸両氏による対談を白水社のホームページで読む事ができる。
その中で、村上氏は主人公ホールデンの社会に対する反抗よりも、
ホールデン自身の内面の葛藤の方に主眼を置いて翻訳したという様な事が述べられている。
そのせいか、学校を放校になったホールデンがニューヨークの街で色々散々な目にあって
心がどうしようもなくボロボロになっていく心理状態がとても切実に伝わってくる。
そして最後の場面で妹フィービーの無垢な愛情に触れてホールデンは救われる。
それはただ単にフィービーが回転木馬に乗るのをホールデンが眺めているだけのシーンなのだが、
何故か私は泣けて泣けてどうしようもなかった。
おそらく本書は読者によって様々な感動を与えられる名作だと思う。