本書にあるストラテジーの内容やトライアル・テスト(模擬試験)の問題数は2年半前に出版された前作『東大英語リスニング』と基本的に同じであるが、次の2点において本書はパワーアップしたといえる。
・本試験10回分に相当するトライアル・テストが本書には収められているが、前作とはちがい、読まれる英文のスピードが回を追うごとに上がっていき、より高い難易度で学習できるようになっている。具体的には、最初の数回分は160WPM(1分間に読まれる単語の数)で読まれるが、最後の2回分は180WPMである。ここまで必要なのかと思わされるくらいの早さだが、逆にいえば時間をかけてこのレベルを繰り返し聞き、そこそこ聞き取れるようになれば、もう怖いものなしということになるだろう。
・後半5つのトライアル・テストに「環境ノイズ」が意図的に含まれている。バイクのエンジンの音、咳をする音、椅子がきしむ音などがあり、かなり手の込んだ作りになっている。こういう配慮がなされた参考書は今までになかったのではないだろうか。すばらしい出来映えである。
以上のような観点からも、本作は前作をしのぐ完成度と内容の密度を誇っているといえる。もちろん前作だけでも、ある程度のリスニングの力をつけることができると思うが、さらに訓練をしたいという人にはもってこいの参考書となっている。また、いきなり本書から始めるよりも、まず前作をしっかりとやったうえで本書に取り組むことが望ましいことはいうまでもない。
2冊とも買っても5千円にも満たない。はっきり言って、お買い得である。もはや東大リスニング攻略のバイブルと呼んでいいのかもしれない。