シャングリ・ラという舞台を得て、文字通り水を得た魚のように
疾走りだしたMay'nの新たなアプローチ―それは、まるで作品本編
ヒロインのごとく(ジャケット衣装などからもイメージされるように)
野生児っぽいプリミティブなパワーに満ち満ちた疾走感あふれる楽曲。
以前のマクロスヒロイン・シェリルの大人びたイメージから、より等身大の
年齢のMay'n本人らしさがぐっとあふれ出した印象が強い本作は、まさに
走り出したら停まらない、そんなどこまでも強くしなやかなMay'n魂を感じる。
何よりまず、『キミシニタモウコトナカレ』というタイトルに持っていかれる。
坂本真綾曲などでも的を得た言葉使いが好評だった岩里祐穂の印象的な歌詞。
そして、それを受けて躍動的に展開される楽曲を今回手掛けたのは、ベテラン
作曲家、本間昭光。それに加え、例えどんな背景がステージでもMay'nはMay'n
以外の何物でもない、そんな意気込みが感じられる圧倒的迫力を維持する
歌唱に今回も否応なく心躍らされる。タイトルが示す通り、傍にいる誰かへの
願いを歌っているようでありながら、その実、自分自身を鼓舞するような...
それはただ一つ「イキロ!」という、この地上に生まれた者の至上命題である。
そんな切実な、何処へ向かっていくのかも解らない、この混沌そのものの
不透明な時代だからこそ、自分自身へ、そして不特定多数の「誰か」に向かって
彼女は歌っているのかもしれない。その誰もが無意識のうちに感じる時代の焦燥感、
不安感を吹き飛ばすような、どこまでも青い空に響き渡っていく、爽快そのものの
彼女の本音。作詞を手掛けた岩里祐穂の紡ぐ、それはアニメ本編のテーマでありながら、
確実に「今」というこの時を覆っている時代の空気でもある。その心地よいリアリティ。
同時にc/wでは等身大のMay'n寄りの本音が聴ける。キラキラした躍動感が弾け、
ああ、まだ10代の女の子なんだ、と今さらながら思い出す。大人びた歌唱(うたごえ)
に身を包み、それでもあふれ出してしまう若さゆえのエネルギッシュさが眩しい。
あたしの未来はこれから始まっていく、という彼女なりの明確なヴィジョンが、
本人作詞の歌詞からも感じられ、今後の活動に期待―というより、たった一つしかない
彼女自身の未来(あした)=おそらく本マキシを手にし耳する、数多の受け手側の
未来さえもポジティブに誘導していく...そんな歌が作り出す豊かな生命ネットワークを
感じさせるから不思議だ。少しマクロスに感化されすぎた(笑)ような気もしつつ、きっと
一つの通過点であると感じる、本作以降の新展開に早くも心がはやる会心の二曲。