雑誌“キネマ旬報”の歴史は古く、キネマ旬報ベスト10が始まったのはなんと1924年で、あのアカデミー賞やカンヌ映画祭よりも早いのです。 この本にはその80年間にわたるベスト10の全歴史(洋画と邦画の作品賞・監督賞など)が網羅されています。 発表当時は高い評価を得ていながら、今では忘れられた名画になってしまっている作品もいくつもあります。
私が初めて手にしたこの本はたしか‘92年度版でした。 当時はビデオソフト全盛の時代でしたが、とりわけ日本映画の名作ソフトは値段も高く、レンタル店に行っても隅っこの方に“名作コーナー”などといった感じで申し訳程度においてあるのが関の山でした。 ビデオレンタルという形態自体が80年代バブルを背景に現れてきた現象だっただけに、古い邦画の名作は、どうにもあの時代の雰囲気にそぐわないものが多かった−ということも言えるでしょう。 あれから約15年−過去の映画を取り巻く状況は大きく様変わりしました。 埋もれた名作が続々とDVD化(しかも廉価・高画質・特典付き)され、さらにインターネットを通じて誰もが好きな時にそれらを購入することができるようになりました。 わざわざ東京に出て行かなくても、映画館が一軒もないような町に住んでいながら、過去の名作にいくらでも触れることが出来る時代になったのです。
この本はそのような時代において、映画全体を見渡すガイドブックとして大きな役割を果たせるものになると思います。 過去の作品が公開当時どんな評価を受けていたのか、現在の評価はどうなのか、DVDを購入する前に調べることが出来ます。 なんだか宣伝文のようなレビューになってしまいましたが、私は決してキネマ旬報社の人間ではありません。 悪しからず。