大竹しのぶ演じる母親は、子供たちにとっては決して満点ではない。というよりも「うるさい」存在だ。ふたりの子供を育てるために水商売からタクシー運転手まで様々な職を転々としている設定なのだが、その完全な演技により、映画の中の話とは思えなかった。主役がガッチリはまっていれば、もうほとんど成功したようなものだ。脇を固める光石研、伊藤歩、井川比佐志らも不器用な生き様を上手く演じていたと思う。ふたりの子供、石田卓也と平山あやは普段通りの芝居だったが、これだけの役者に囲まれれば十分カバーしてもらえる。かえって少し荒削りの演技のほうが、今回のストーリーに合っていた。他、「ルーキーズ」でブレイクした尾上寛之や大西麻恵など、決して派手ではないが魅力的なキャストをよく集めたものだ。大竹しのぶはいつも「何をしでかすかわからない」エキセントリックな感情を表に出している。本作も学校での消火器ぶちまけなどで、その魅力が全開である(笑)。例えば「空中庭園」の小泉今日子演じる「母」とは正反対のタイプだが、偽りの「家庭生活」よりもこういう母親のほうがよほど「絆」が強いということだ。まさに平成版「肝っ玉かあさん」だね。最後の急展開はちょっと?だったけれど、見応えのある作品だった。特典映像は監督インタビューと舞台挨拶のみで、これは寂しいぞ。メイキングは収録してほしかった。