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37 人中、28人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
死とキッチン,
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レビュー対象商品: キッチン (角川文庫) (文庫)
身近にある"死"を思う。ひとが生活していくために欠かせない食事をつくるキッチンを通して死が交差する。大切な人の死を乗り越えて、自分は食べ、生きていかなければいけない現実。 それはなんてシュールな世界。そして、目を逸らせない現実だ。 身近な死を経験した人ならきっと痛いくらいの涙が出るんじゃなかろうか。そう思った。 私はまだ、遠い人の死を経験したのみだから、まだ想像するしかないのだが、もし恋人が死んだら、私もまた、どのようにその寂しさを乗り越えていくのだろうと切実に思った。 現実はきっと吉本ばななさんの描くとおりに、そんなに悲惨なわけじゃない。 お腹もすくし、恋もする、お金のことだって、仕事のことだってなんとかしなければいけない。 そういうもどかしさや侘びしさの合間に、キッチンの無機質な光、包丁やまな板が鎮として並ぶすがた、朝の光につつまれた空間の静謐さ・・・なんかの描写が出て、やるせない死の世界に、とてもうまく共振している。 それはとても辛いことだけれど、同時にすごく救いなんだ、と思う。 そういうコントラストのうまく生かされた、作品。 そして、登場人物が異様に魅力的な、作品。
6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
少しずつ言葉の鮮度は失われつつあるけれど,
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レビュー対象商品: キッチン (新潮文庫) (文庫)
「彼女たちは幸せを生きている。どんなに学んでも、その幸せの域を出ないように教育されている。たぶん、あたたかな両親に。そして、本当に楽しいことを知りはしない。どちらがいいのかなんて、人は選べない」。吉本ばななの出世作。一世を風靡しただけのことはある。研ぎ澄まされたセンスと、後半へ行くにしたがってちょっとあり得ないなと思われてくる多少無理なストーリー展開に包まれ、文学の普遍的なテーマである、生と死、孤独や愛などが、深刻になり過ぎないくらいの加減で語りかけてくる。テンポが良く、独特の文体で読者を引き込む。 ただし、既に言葉づかいや文章が一部古く感じられる。これは時代の変化によるものだろう。その時にもっとも繊細で新鮮な言葉を選んでそこに感性を絡めながら書いたものは、どうしても鮮度を失うのが早くなる。 「ムーンライト・シャドウ」も、失った大切な人をめぐる不思議なエピソードが、切なく、しかしさわやかに表現されており、作品としては良い出来だった。
24 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
心のお薬。,
By まゆら (群馬) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: キッチン (角川文庫) (文庫)
時々、心がどん底に陥ることがよくある私。そんな時は必ず、まずこの本を読みます。内容、ストーリー云々ではなく、私にとってはこの作品の中に居る空気(・・・雰囲気でしょうか)と、幾つかの言葉がものすごく大切で、重要なんです。中でも一番心に響くのは「キッチン」のラスト、おかまのえり子さんの言葉。「一遍絶望してみないと、自分が何を大切にしてるか分からないままになっちゃう」という意味の台詞。これを読むたびに、また歩き出せる気がするのです。絶望するのも、失敗じゃあないんだな。
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