1996年作品、94年8月のバイク事故以後の初監督作、
ここでそれまでの5作品すべてを覆っていた濃厚な死神の影がいったん薄くなった、人生は理不尽でどうにもならないものだが、なぁーに、どうにかなるさ、どうせならどんな重みもみんな引き受けてやろうじゃないの、と北野は50歳にして吹っ切れたのだとおもう、死は自らが呼び寄せるものではなく時期がくればかってにやってくるものなのだから、あせらずゆっくり待っているよ、と、
物語は行き場を失いそうになりながらも懸命に前進しようとする少年達を描いた純粋な青春映画の傑作、主役はあくまでの金子と安藤だが彼らの何人もの同級生たちの人生も同時並行で描かれる青春群像劇として見たほうが楽しめるとおもう、
最後のマサルのせりふはバブル景気後の物事を簡単に勝ち負けの二者択一で判断してしまおうという風潮が行き過ぎた時代に強烈な否定をしてみせたのだとおもう、終了後の後味のよいそう快さは北野映画でも随一のもの、「あの夏、」とともに今現在、進行中の青春をおくる世代にこそ鑑賞を薦めます、
バイク事故の夏を思い返せば、あー、これでたけしも終わりかと思ったものです、さすがに持ち合わせる生命力が尋常ではないのでしょう、現場復帰宣言のような「リターン」という題名とともに映画製作も再開、ただし本作と次作「花火」はメジャー公開ではなかったことは新しいファンにも知っていてほしいことです、