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キサトア
 
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キサトア [単行本]

小路 幸也
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

内容説明

色が判らない少年芸術家のアーチ、一日の真逆の時間に寝起きする双子の妹キサとトア。風変わりな一家と町の人々の一年を描く── --このテキストは、 文庫 版に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

世界的アーティストだが病気で色がわからないアーチ、朝と夜それぞれ真逆の時間に眠る不思議な双子の妹キサとトア。不便な事もあるけれど、“風のエキスパート”である父と海辺の町の愉快な仲間と共に楽しく暮らしている。だが父の仕事が原因で一家は少し困ったことに…。やさしい四季の物語。文庫書き下ろし掌編を収録。 --このテキストは、 文庫 版に関連付けられています。

登録情報

  • 単行本: 300ページ
  • 出版社: 理論社 (2006/06)
  • ISBN-10: 465207784X
  • ISBN-13: 978-4652077849
  • 発売日: 2006/06
  • 商品の寸法: 18.4 x 13.8 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 378,692位 (本のベストセラーを見る)
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5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
あるがままに 2008/11/20
形式:単行本
舞台は、海辺の小さな町。
海から昇る朝陽と沈む夕陽をおなじ場所で見ることができるところだ。

主人公のアーチーは、世界的に評価されるほどの芸術家でもある12歳の男の子。
キサとトアはアーチーの双子の妹。
日が出ている間しか起きていられないキサと、日が沈んでいる間しか起きていられないトア。
風を読む才能を持つ「風のエキスパート」という仕事をしているお父さん。

5年前に町に引っ越してきたこの家族を中心にした1年間のお話。

タイトルは「キサトア」だけど、キサもトアも物語の中心人物ではない。
彼女たちは自然の象徴としているのだと思う。
微妙なバランスの象徴。動と静、昼と夜。

風のエキスパートのお父さんは自然を相手に仕事をしている。
それは自然と戦うのではなく、逆らわず、あるがままに受け入れ、感じる。
だから自然は彼らに応えてくれる。

この世界は信じられないくらいの微妙で、繊細で、かつ絶妙なバランスの上に成り立っている。

大人の世界の汚い欲望や猜疑心に傷つけられそうになるけれど、彼らは悲しむことも怒ることもなく、ただ淡々と受け止める。

自然にあるがままに受け入れる。

「見えるものと見えないもの。それに囚われると自分の周りしか、今いる時間しか考えないようになってしまう。
自分の周りしか考えないと、つながりとバランスを壊してしまう。
今この瞬間にも、どこかでは花が咲き、どこかでは嵐が吹き荒れ、何かが眠り何かが目覚める。この世界には境界線などどこにもない。」

お父さんのセリフがこの物語のベースだ。

なるがままに。あるがままに。
だからこそ、強くしなやかに優しくいられる。

読み終わった後に切なくなるのは、ピュアで優しい世界にひたれたからだろう。
小路幸也の書く物語は大好きだ。
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形式:単行本
ある世界では、風や水の流れを読む

「エキスパート」という人たちがいます。

主人公の父は風のエキスパートですが子供が

日の出・日没と共に寝起きをするという

奇妙な病気のため街に留まっています。

主人公の友達・周りの大人も表情豊かで

生きる希望を感じられる宮崎作品のような

伸びやかさを感じました。
このレビューは参考になりましたか?
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By suihou トップ50レビュアー
形式:文庫|Amazonが確認した購入
日本ともどことも知れない海辺の町。
フウガさん、ロドウさん、マイカさんなどネーミングも童話的。
〈風のエキスパート〉〈水のエキスパート〉と呼ばれる自然を読める力のある一部のおとな。(ひとりは「ぼく」のお父さんで、風車を管理)
そして、色感が常人とは違うけれど、天才的造形アーティストの「ぼく」アーチ十二歳。双子の妹は、朝日から夕日まで起きているキサと、逆に夕日から朝日まで起きているトア。

 ほぼ閉ざされたこの世界で、自然ととけあいながら生きているひとたち。双子をいけにえにしないと波が鎮まらない双子岩の伝説とか、アーチたちの作品が大規模に盗まれたり、といったすこし波風のたつエピソードはあるのですが、それとても、現実の世界のドラマの鋭さをもつことなく、大らかにこの海と風の世界に抱き取られて、流れさってゆく感じです。

 読み終わって、この無時間性は、何かに似ていると思い、ふっと浮かんできたのが、ムーミン谷(トーヴェ・ヤンソン作)シリーズ。ムーミンたちトロールだけでなく、ヘムル、ミムラ、フィリフヨンカ、スニフ、モランなど、ちがった種族が海辺の谷に淡々とくらしていて、ドラマの起伏が少なく(洪水、隕石など自然の災害はありますが)、大きな自然の時間が悠揚とつむがれてゆく物語。

 小路流「ムーミン谷」は、少しイーハトーヴォ的なテクノロジーも入り、おとなもこどもも円環的な四季の時間を送りつつ、どこにもないけれどなつかしい、自然界と交感する波長の童話的世界です。

風の綻び、水の繋ぎ目
流れる大地、囀る緑
星の溜りを胸に受けよう
星の目覚めを意志に刻もう

 昔から伝わっているというこの歌が象徴的。自然との「境界線のない世界」に生きる、エキスパート、そして子どもたち。
 ノスタルジーだけではなく、これからのわたしたちの生き方を示唆するような。

 マッチタワーコンクールで、子どもながら準グランプリをとるアーチ。そして、新しい家族ができ、やがて妹たちは、奇しくも「ムーミン谷」の緯度の白夜の世界に癒されてゆきます。微妙な変化は、ひとにも自然にも、「綻び」「繋ぎ目」として訪れます。

 文庫版には「それからのこと」がついています。自然の流れに恵まれた〈ポロウ村〉に招かれたアーチ。
 自然の流れは完璧なのに、何かが足りずに水がとどこおる。それは妖精や精霊、怪物といった〈ギフト〉が不足しているから。アーティストはそれを作るのが役目なのだ、と言われます。
 この掌編がついて、物語は、さらにひとつの新しい方向性を得ました。これは、本編には(ほのめかされていたものの)明示されなかった答えではないでしょうか。シリーズになれば楽しみです。

(書き落としましたが、本のタイトルは「あと・さき」をひっくり返したものですよね。現実の秩序がくつがえる、その意味合いではと思います。)

 

 

 
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