物語は、成南電気工学大学の機械制御研究部(キケン)での日々(回想シーン)が主に綴られ、その合間に「彼」とその妻との会話(現在のシーン)が挿入されるという形で進みます。
この形態、私には興ざめに感じられました。キケンでのエピソードのスピード感が落ちるし、若夫婦の甘い会話が場違いな感じがして鬱陶しいです。どうせなら、ガガーーッと学生時代の話を展開させ、最終章でのみ現在に戻るというほうがスッキリしていていいのでは?と思いました。
他の方のレビューをいくつか読んでいたので、心の準備をしてから本を手に取ったのですが、あまりにも「!」「!?」が多用されていてクラクラしました。常に誰かが叫んでいたり喚いていたりしている感じです。本なので音声は出ないはずなのに、「ウルサイ・・・」と感じてしまうこともしばしばでした。
とてもリアルなシーンもあり、自分の大学生時代を思わず思い出したりする部分もあったのですが、その反面、大学生の男性同士はこんな風に喋らないだろ!と突っ込みを入れたくなるシーンもところどころありました。18歳とか19歳の男子学生が互いのことを「男の子」とか言い合っていたら気持ち悪いよな〜とか。
有川さん独特のノリは他作品で十分わかっているはずなのに、なぜこの作品は入り込めなかったのか、いろんな部分が鼻についてしまったのか、自分なりに考えたのですが。この物語にはハッキリとした核がないというかキッパリとした芯がないというか・・・うまくいえませんが、コレだ!というような中心になるようなテーマがないせいではないかと感じました。
「愛する本を守る為戦う」でもいいですし「俺は潜水艦が大好きだ」でもいいのですが(笑)、他の作品には分かりやすい中心のテーマがあり、登場人物たちがそれを誇りにしていたように思います。
否定的な意見ばかり言ってしまいましたが、大神大好きですし、最後の黒板のシーンはかなり良かったです。
でも、初めて有川浩を手に取る方にはこの作品は薦めないと思います。