本書は解説にもあるようにキケロー選集のうちから、キケローの視点で内乱の世紀の最終局面を眺められるように配列されている。よって、同時代の証言という意味合いで読んでいくという、ある程度限定された視点に限られる。よって、哲学者/思想家としてのキケロの姿を追うとなれば選集を選ぶほかは無い。もちろんキケロの行動を追う事は十分可能だし、書簡から当時の習慣や官職についた人間の振る舞いをうかがう事も可能だ。何より楽しいのは、キケロの場合によっては敵を作る事になる悪い冗談とはどのようなものか感じ取るには本書でも可能なので、その書簡に行き当たったらにやりとして欲しい。
また、贅沢禁止法のあおりを受けて野菜を主とした料理がはやっている事、言葉の移り変り、カエサルとの対決や娘の死等々、共和制末期の世相と人間キケロをうかがわせる一書である。