物語の中から、いまどきの女の子たちの声が聞こえてきます。いや、ほんとに。
木内日菜(きうちひな)、中二、女子の学校生活はほぼ順調でした。
あいつ、学校一のルックスの男子、藤崎翔音(ふじさきしょおん)から、いきなり声をかけられるあの時までは……!
危ういバランスで保ってきた女子の関係は、テニス部のボス「あゆ」が憧れている男子、翔音が日菜に親しげに話しかけてきたその一瞬から、がらがらと崩れ出します。いつの間にか、テニス部の仲間から外され、完全無視のいじめのターゲットになってしまう日菜。
ところが、宮下さん描く日菜ちゃんは、陰険ないじめにあってるのに、とことん暗くなりません。悩んでもいるし、登校拒否にまでなってしまうのに、じめじめ暗い底へは、なぜか堕ちていかないのです。
それは、日菜が、思春期の感受性と好奇心を失わないからだと、私は途中で気付きました。
日菜は十分すぎるほど傷ついているのだけれど、傷ついている自分に酔わないのです。
日菜は、すっかり落ち込んでいる自分にさえ、自ら突っ込むことができるいまどきの女子なのです。「ワタシ」しか見えない女の子ではなく、「ワタシ」も「他人」も、等分に見つめることのできる女の子、それが日菜なのです。
いじめや学校でのトラブルと渡り合える力は、実は自分自身の中に隠されていると、この物語は、明るくかろやかに教えてくれます。出口は案外すぐそばにあるんだよ〜と。