ガンジーの生涯−1869年〜1948年−におけるインドの状況にあまり知識を持っていなかったため、通読後訳注を見ながら詳しく読んだ。
その知識を持っている方が、よりガンジーの思想の変遷を理解できると思う。
たとえば、
・東インド会社設立後、1857年のインド大反乱後1947年までイギリスに支配されていたこと、
・カースト(身分)制が布かれていて、ブラフマナ(聖職者)、クシャトリア(武士)、ヴァイシャ(商人)、シュードラ(手工業者)の4つに分かれていたこと、
・日本の方言以上に複雑な多くの言語があること、など。
学校で習ったに違いないが、思い出しながら読むと理解が深まった。
この本を読むと、ガンジーがインド、イギリス、南アフリカを往復して様々な人とふれあい、
弁護士を出発点として、どのように政治活動に関わっていき、非暴力運動を展開させていったかがわかる。
南アフリカでの人種差別運動によるインド人の抑圧やイギリス支配からの脱却を目指して、
自給自足を旨とした農園を作り、サッティヤーグラハ(真実の力)運動を起こしたのである。
その運動のためにどれだけ投獄されたかと思うと、驚きであった。
真実を貫くこと、それには精神の涵養が必要であり、その手段として肉体的な涵養も必要になってくることに、共感を持った。
ただ、これだけ自由があふれた日本において、当時は菜食主義や禁欲主義で実践していたものをどのように実践するかは考えさせられる。
読み終わって思うのは、ガンジーの思想は、ガンジーにとって至極当たり前だったのではないか、ということ。
なぜなら、文章が淡々としていていかにも考えの赴くままに行動していたと感ぜられるからだ。
本書には、なにか奇抜なことやわくわくさせられることはあまりないが、いろいろと考えさせられるものが詰まっていると思う。