代数方程式の解法にルーツをもつ古典的ガロア理論から
代数構造をフルに用いる現代的ガロア理論への移行を告げる、
アルティン大先生の記念碑的著作である。
“現代的”と言っても、アルティン先生のガロア理論は
まだ“適度に古典的、適度に現代的”といった感じである。
ガロア理論に興味をもつ読者の中には
第1部の「線形代数」という言葉にひるんでしまう方も
いらっしゃるかもしれないが、恐れることはない。
ていねいに読めば予備知識なしでも十分理解できるレベルだし、
第1部後半の行列式はまるまる飛ばしてしまってもよい。
はじめて読む場合は「ガロア理論の基本定理」の証明あたりで
力尽きてしまいそうだが、方程式の代数的可解性に興味をお持ちの方は
もう少し辛抱して、クンマー拡大まで気合いでたどりついてほしい。
その後は第3部に飛んで、必要とあらば第2部の結果を参照して、と
ヒット・アンド・アウェイを繰り返していれば、古典的結果についての
理解も深まるはずだ。
証明は、とにかくエレガントの一言に尽きる。
紙と鉛筆をもって証明を追っていけば、
アルティンの“名人芸”をたっぷり堪能できる。
Dover版(原書)は900円足らずで買えてしまうが、
あえて本書をおすすめしたいのは、原書にはない概説や、
練習問題、解答を付してくれた訳者の心意気に応えたいからだ。
どう考えても“研究業績の水増し”としか思えない、
やる気のカケラもないような教科書の翻訳が氾濫する中、
「自習にも使えるように」という訳者の心遣いには感動させられる。