数学者の草場先生は著書「ガロワと方程式」のなかで、ガロワ理論は
ガロアが18,19の高校生の時に構想したものであり、だから本来
それほど予備知識はいらないものだと書いています。
本書は、普通の大学用のテキストとは違って、あまり代数学の予備知識
を要求せず、中学、高校の知識だけに基づいてガロア理論を解説してい
ます。
それともう一つ、普通のテキストは、現代の群論を用いて、ガロア理論を
記述しているとすれば、本書は、そうではなく、ガロアの論文と考えに
したがって、ガロアが書いた様式を再現しながら、ガロア理論を叙述し
ています。
そのため、数学科の学生諸君には、いつものやり方と違うので、冗長だ
ったり、厳密な感じがしなかったりする部分があるとしても、はじめて
ガロアを読む高校生や当方のようなシニアの素人にとっては、十分にわ
かりやすく、味のある解説になっていると思います。
はじめの方の3章にわたって、2次、3次方程式の解き方と、置換の解
説が丁寧に書いてあるので、ここを十分に読んでおくと、4章からのガ
ロア理論が読めるようになると思います。
なにしろ、大学レベルの知識はでてきませんから、4章からも、ゆっくり
と何度も読み返すならば、ガロアの構想を把握できます。
著者は、多分やさしく書くためと、ガロアの説明に沿うために、本書でし
か使わない用語をいくつか使用していて、これがすでに数学を学んだ読者
には違和感があるかと思いますが、実際本書は高校までの知識しか予定し
てないので、何度か読みなおせば、これはこれで、わかりやすい説明のよ
うに感じられます。
4章で、2次方程式を例に、代数的に解けて「解の公式」が見つかるため
には、2つの根a,bから作られる置換群が、どのような性質を有するのが、
丁寧に解説されます。
ガロア群Gの書き方や、正規部分群の定義と表記、また群の包含順序に対応
する解の公式の記述に必要な「数体」の呼び方などが、通常の教科書とは異
なっていますが、なに、初めて読む場合には、問題はないように思います。
最後の8章には、現在の群論をもちいた、ガロア理論の概要も示されてい
ます。