ガルシア=マルケスの『予告された殺人の記録』の
モデルとなった女性のその後を取材したノンフィクション。
小説家が事実を題材としたとき、どこまでその当事者たちの魂に近づけるのか。
本書は、そこに焦点があてられている。
ガルシア=マルケスは取材拒否、女性の取材もできなかったが、
親族や女性を最後まで支えた牧師など周辺の言葉を拾い上げ、
推測とはいえ、女性が抱え続けた苦悩を明らかにしているのは見事。
開高健賞作『絵はがきの少年』に続き、文章もとても読みやすい。
新聞記者として、多くの人に読まれる文を書いてきたからだろうか。
ただ、読みやすいだけに、あっという間に読み終えてしまう。
それがどこか物足りない。
もう一押し、小説家のどろどろした感情、ずるさのようなものに
踏み込んでほしかった気はする。