作品自体の評価は言うまでも無いと思います。有名な小人国と巨人国では、その両国におけるガリヴァーの描写ももちろん、あまりにも強力な存在から一転して無力な存在となるという境遇も面白いところです。数学者の矢野徹氏の著作にも両国における服の生地や食事量などを元に、作者の数学的な計算の確かさも書かれています。
そして後半の両国における風刺的な描写も素晴らしく、大人から子供まで楽しめる作品であることは間違いないでしょう。
翻訳としては、中野氏、その流れを汲む平井氏の両翻訳が有名ですが、中野氏の翻訳はさすがに古臭いと思います。ただし、子供用の抄訳版は読みやすく、傑作とは思いますが。平井氏の著作と比べると、翻訳そのものも本書の方がやわらかく、読みやすいと思います。また、レイアウトの点からも本書は読みやすく、岩波文庫(1冊である点は便利ですが)の平井氏の翻訳に優ると思います。