二十世紀の女性記文学の代表ともいえるアナイス・ニンの処女作品集。
作家の五木寛之さんが日刊ゲンダイのエッセイの中で、「中身もそうだが、装丁もふくめて、すこぶる瀟洒な本だ。」と褒めておられた。
たしかに表紙のほかに、それぞれの短編の翻訳ごとに山本直影さんの装画もじつにシンプルで美しい。文字は紫。本は二部構成で、前半は翻訳、後半は12人のアナイス・ニン論からなる。
まるで本そのものから、アナイス・ニンという女性が立ちのぼってくるようだ。もしアナイス・ニンがこの本を手にとることができたら、きっと「ほうっ」と感嘆の吐息を漏らすのではないか。
この「ガラスの鐘の下で」はアナイス・ニンが仲間とともに印刷機を動かして出版した作品だという。部数はたったの300部。そんなふうにして世に出た作品をまたこんな形で読むことができる幸せ。
忙しない日常の中で、二十世紀を生きた女性作家の魂と向かい合えたような気がする。