当初、邦訳が日本でリリースされた時、ミステリーとして紹介されたことに訳者の柴田センセは、解説でえらく憤慨しているようだが、この作品、確かにミステリ仕立てではある。
「私」は、ウイリアム・ウイルソン名義で探偵マックス・ワークを駆り立て盛り立てているミステリ作家ダニエル・クインと純文学作家(?)ポール・オースターの共通の友人である。その「私」が語っているんだから、そのように、どのように、いかように思われても、まあ、仕方のないことだ。
そう、ポール・オースター自身も出てくる(?)のだ・・・・・
クライアントの夫、ピーター・スティルマンと同じ名前を持つピーター・スティルマン教授のキリスト教原理主義的な「天地創造」説話もなかなか面白いし、さらには英語の言葉遊びは外国人読者としての日本人が読むに際して、これまた興味が深くなかなか面白い。
「幽霊たち」「鍵のかかる部屋」と続くニューヨーク三部作の第一作目ということで、これが日本デビュー作みたいなものだけど、この作家は、当初から凄かったんだな。
日本では、今や、英語の教本にも使えるようなテキストも出しているので、これはこれでお勉強になる。