1巻から脈々と対比され続けたマヤと亜弓の個性がダブルキャストという形で
いよいよ白日の下に曝される非常に重要な7巻です。
3重苦のヘレン・ケラーを演じることでいよいよ明確になった二人の対比とは
「形」と「心」です。亜弓は完璧なヘレンを演じ、完璧な「形」を見せれば、
マヤはまず心を感じ、形に捉われず自ら感じたヘレンを「心」の趣くままに演じ
て見せました。その全く新しい「ヘレン」を世間を始め亜弓の母親さえもが大い
に評価しました。そしてもうひとつの対比が「努力」と「才能」です。亜弓は
もちろん圧倒的な天才ですが、ただ一人マヤと比較した時に限って言えば「努力」
の人です。マヤは常識的な感覚を全く超越した文字通り「天才」。マヤの演技の
超越ぶりと、なぜマヤの演技が人々の心を捕えて離さないのか・・・亜弓の才能
をもってしてもすぐには理解できないほどでした。こうしたマヤの才能に対する
恐怖がまた亜弓を一層ひたむきな努力に向かわせるのです。この鮮やかな対比
こそが「奇跡の人」を奇跡の舞台へと導いているのではないでしょうか。