表紙の鉄のパイプと蒸気の単語に惹かれての購入。 故に前作があるとも知らずにこの巻のみ購入…。
そんな立場の人間からすると、まず言えることはひとつ。
前作、読んでから読もうぜ!
物語の中心キャラクターが前作から登場(らしい)の悪党だったり、前作の事件について軽く触れるシーンがあるので順序よく読んでおいたほうが理解が易いと思う。
文章は『巧い!』と大絶賛まではいかないが『読めたもんじゃねえ!』というほど酷くはない。
つまりは可もなく不可もなく、だ。
ただテンポ自体は軽やかでスラスラと読める。
物語の総ページ数は240程度にも関わらず、その章数は22を数える。(プロローグ、エピローグを含めて)
なので前半の章での情勢の説明、キャラクターの関係説明は割とページをふっているが、中盤以降物語が加速すると10ページ前後で章が変わり、また、細かく場面も登場キャラクターも変わる。
描かれる場面がキャラクターがコロコロ変わるので退屈はしないが全体でどう時間が流れているのかの把握に少々手間取る。
また、主に蒸気帝国の城の中が舞台であり、物語が動き出してからはほぼ城の中だけで完結するので、いくら広い城内とはいえ物足りなくもある。
そして城の構造がいまいち把握しきれないのが難点か。せめて城の見取り図があればなあ…。
全体としては明るく軽いノリなのだが、どうやら死者も出た模様なのでその辺の落差に弱冠違和感が残る。
このノリなら『怪我人こそ出たものの奇跡的に死者はゼロ。』でもよかったような気がする。
しかし★4なのは今作の主人公ハイデマリー・コス副長のキャラクター造形(絵のことじゃなく)が結構好きだったから。
極めて漫画的な造形で、野心家かつ他人を巻き込む無自覚の騒動主。士郎正宗のドミニオンを思い出した。
でもやっぱ蒸気の街での大活劇が見たかったな。