3ヶ月の自動車旅行から、ベルリンに帰って来たウィリー(ヴィリー・フリッチ)、
クルト(オスカー・カールワイス)、ハンス(ハインツ・リューマン)の仲良し三人
組。ところが、折からの不景気で、彼らは破産し、家も競売にかけられてい
る始末。のんきな三人も、さすがに仕事をしないわけにはいかず、田舎道の
側に、ガソリン・スタンドを作ることを思い立つ。仕事も回り始めたある日、リ
リアン(リリアン・ハーヴェイ)という魅力的な女性が立ち寄り、三人はそれぞ
れ思いを寄せるようになるが…。
ドイツの映画会社UFA(ウーファ)が放つ、30年代ドイツ・オペレッタ(ミュージカ
ル)映画の佳作。ドイツ映画界の大プロデューサー、エーリッヒ・ポマー製作に
よる心躍る朗らかで愉しい一編だ。このオペレッタの成功を得て、翌年、映画
史に輝く『会議は踊る』が作られたという意味では(主演も一緒)、『会議は踊る』
の原石的作品とも言えるかもしれない。
「恋か友情か」という普遍的なテーマを軸に、歌と踊りを盛り込んで物語を進め
るティーレ演出は、軽快そのもの(編集も音楽のようなテンポとリズムだ)。暗く
シリアスと思われがちなドイツ作品にあって、底抜けに明るい作風だ。作品を
彩る歌と踊りは、現在の目で観ると、正直、野暮ったく、泥臭くもあり、洗練と
いう面からは程遠いのだが、そういったマイナス的な部分も含めて、この作品
の(いい意味での)弛緩した雰囲気と味に貢献していると言えるだろう。『会議は
踊る』の「唯一度だけ」のような、作品全体を牽引するような魅力的な曲がない
のは残念だが、出演者も実に楽しそうに歌い踊っている。
本DVDは、クラシック映画DVDの発売で有名な(質の面が重要視されていない
ことでも有名)IVC社のもの。残念ながら、ドイツUniversum(UFA)から発売されて
いる正規盤DVDのマスターではなく、Beta Filmという会社(主としてTV放映素
材を販売)のマスターを使った商品。レストアなどは一切されておらず、傷も目立
ち、白黒の諧調に乏しい全体的にボヤッとした画質だ。また、2000年発売のDV
Dという点を考慮しても、日本語字幕が焼き付けという仕様もいただけない。とい
うことで、星3つの評価。